ビル管理士 2024年(R6年) 問77  過去問の解説【空気環境の調整】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

環境測定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.サーミスタ温度計は、電気抵抗式温度計の一種である。
2.相対湿度の測定には、毛髪などの伸縮を利用する方法がある。
3.アスマン通風乾湿計は、周囲気流及び熱放射の影響を防ぐ構造となっている。
4.ピトー管による風速測定では、ストークスの定理を用いる。
5.換気量の測定には、トレーサガスの濃度減衰を利用する方法がある。
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回答と解説動画

正解は(4)

1. サーミスタ温度計は、電気抵抗式温度計の一種である。
→正しい
サーミスタは、温度によって電気抵抗値が大きく変化する半導体素子であり、電気抵抗式温度計の一種です。

2. 相対湿度の測定には、毛髪などの伸縮を利用する方法がある。
→正しい
毛髪やナイロンなどの伸縮を利用した毛髪式湿度計は、湿度による伸縮を指針に伝えて相対湿度を測定します。

3. アスマン通風乾湿計は、周囲気流及び熱放射の影響を防ぐ構造となっている。
→正しい
アスマン通風乾湿計は、クロムメッキや金属筒で熱放射の影響を防ぎ、ファンで一定の風速を与えて周囲気流の影響も抑える構造です。

4. ピトー管による風速測定では、ストークスの定理を用いる。
→不適当
ピトー管による風速測定は、ベルヌーイの定理を用います。ストークスの定理は粘性流体の力学で使われる別の理論です。

5. 換気量の測定には、トレーサガスの濃度減衰を利用する方法がある。
→正しい
トレーサガス減衰法は、特定ガス(トレーサーガス)を室内に注入し、そのガスの濃度が時間とともにどのように減衰していくかを測定することで、換気量を推定する方法です。

ビル管理士試験で出題される環境要素の測定器まとめ

以下の測定器とその特徴を覚えておけば、だいたいの問題に対応できるはずです。

項目測定器特徴
温度バイメタル式温度計2種類の金属の膨張率の違いを利用し、温度変化で金属が曲がることで指針が動く。
電気抵抗式温度計金属(主に白金など)の電気抵抗が温度で変化する性質を利用。
熱電対温度計異なる2種類の金属を接合し、温度差で生じる微小な起電力(ゼーベック効果)から温度を測定。
サーミスタ温度計半導体セラミックの抵抗値が温度で大きく変化する性質を利用。
グローブ温度計黒球(球状の黒塗りセンサー)が放射と対流の両方を受け、周囲の放射熱を含めた温度を測定。示度が安定するまでには、15~20分間を要する。
放射熱を測定するので気流の大きいところは不向き。
湿度電気抵抗式湿度計感湿膜が吸湿・脱湿で電気抵抗値を変化させる。
毛髪湿度計毛髪やナイロンなどの伸縮性を利用。湿度で長さが変わり、その動きで指針が動く。振動の多い場所での使用は避ける。
アスマン通風乾湿計乾球・湿球2本の温度計を使い、温度差から湿度を算出。周囲気流及び熱放射の影響を防ぐ構造となっている。
静電容量式湿度計感湿膜の吸湿・脱湿で静電容量が変化する。
気流熱線式風速計細いワイヤの冷却速度(熱が奪われる度合い)で風速を測定。定電圧式や定温度式などがある。
ピトー管式全圧と静圧の差(動圧)から風速を計算。(ベルヌーイの式)
超音波式風速計超音波の伝播時間の変化で風速を測定。
換気量トレーサーガス減衰法疑似的な有害物質(トレーサーガス)を発生させ、その発生量と捕集量を測定することで、排気装置や換気装置の性能を定量的に評価する。

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