ビル管理士 2021年(R3年) 問64  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

空気調和方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.定風量単一ダクト方式は、給気量が一定であり、給気温度を可変することにより熱負荷の変動に対応する方式である。
2.変風量単一ダクト方式は、定風量単一ダクト方式と比較して空気質確保に有利である。
3.ダクト併用ファンコイルユニット方式は、単一ダクト方式とファンコイルユニットを併用することにより、個別制御性を高めたシステムである。
4.放射冷暖房は、冷房時の表面結露や空気質確保に配慮が必要である。
5.マルチゾーン空調方式は、負荷変動特性の異なる複数のゾーンの温湿度調整を1台の空調機で行う方式である。

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回答と解説動画

正解は(2)

1. 定風量単一ダクト方式は、給気量が一定であり、給気温度を可変することにより熱負荷の変動に対応する方式である。
→ 正しい。
定風量単一ダクト方式(CAV)は、風量は一定で、送風温度を変化させて室温調整を行います。

2. 変風量単一ダクト方式は、定風量単一ダクト方式と比較して空気質確保に有利である。
→ 不適当
変風量単一ダクト方式(VAV)は、負荷が小さいとき風量が減るため、換気量も減少し、室内空気の清浄度(空気質)が悪化しやすいです。したがって、空気質確保の点では定風量方式の方が有利です。

VAVユニットの仕組み 出典:株式会社エムジー

VAVユニット(Variable Air Volumeユニット)は、「可変風量ユニット」とも呼ばれ、ビルや大型施設などの空調システムで使われる装置です。
その主な役割は、部屋ごとの空調負荷(温度差や人の数、機器の発熱など)に応じて、送風量を自動的に調整し、室温を快適に保つことです

3. ダクト併用ファンコイルユニット方式は、単一ダクト方式とファンコイルユニットを併用することにより、個別制御性を高めたシステムである。
→ 正しい。
ダクト併用ファンコイルユニット方式は、個別制御性を高めるためのシステムです。

出典:モノタロウ

ダクト併用ファンコイルユニット方式は、各部屋やゾーンごとにファンコイルユニット(FCU)を設置し、個別に冷暖房の制御ができる空調システムです。ファンコイルユニットは、機械室などで作られた冷温水を使い、室内の空気を熱交換して冷やしたり温めたりします。各ユニットは独立して運転できるため、部屋ごとに温度や風量を自由に調整でき、未使用の部屋は空調を停止するなど、省エネ運転も可能です。

この方式では、ファンコイルユニットだけでは新鮮な外気(換気)が不足しがちなため、外気処理空調機や換気用ダクトを併用し、各部屋に新鮮な空気を供給します。これが「ダクト併用」と呼ばれる理由です。
そのため、個別空調の快適性と換気の両立ができ、オフィスビルやホテル、病院など、部屋ごとに利用状況や快適性のニーズが異なる建物で多く採用されています。

4. 放射冷暖房は、冷房時の表面結露や空気質確保に配慮が必要である。
→ 正しい。
放射冷暖房(輻射式冷暖房)は、パネルや天井・壁の内部に冷温水や冷媒を流し、その表面からの放射(輻射)で室内を冷やしたり暖めたりする仕組みです。冷房時には、パネル表面の温度が室内の空気の露点温度(結露が始まる温度)よりも低くなると、空気中の水蒸気がパネル表面で結露し、水滴となって現れます。これは、冷たい飲み物を入れたグラスの表面に水滴がつく現象と同じ原理です。

5. マルチゾーン空調方式は、負荷変動特性の異なる複数のゾーンの温湿度調整を1台の空調機で行う方式である。
→ 正しい。
マルチゾーン方式は、1台の空調機で複数ゾーンの温湿度を調整します。
二重ダクト方式と似ているが、熱負荷の同じような部屋をゾーンとしてまとめ「冷風・温風」を混合して1本のダクトで送風するため、混合ユニットを持たない点が違う。

解説動画

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