問題
自然換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 温度差による換気量は、給気口と排気口の高さの差の平方根に比例して増加する。 |
2. | 温度差による換気量は、室内外の空気の密度差に比例して増加する。 |
3. | 風力による換気量は、外部風速に比例して増加する。 |
4. | 風力による換気量は、風圧係数の差の平方根に比例して増加する。 |
5. | 開口部の風圧係数は、正負の値をとる。 |
回答と解説動画
正解は(2)
1.温度差による換気量は、給気口と排気口の高さの差の平方根に比例して増加する。
→ 正しい
温度差換気(重力換気)では、建物内外の温度差によって生じる空気の密度差と、開口部の高低差による圧力差が原動力となります。
公式としては
\( Q = \alpha A \sqrt{\frac{2 g h (\rho_o – \rho_i)}{\rho}} \)
- Q:換気量 [m³/s]
- α:流量係数
- A:開口面積 [m²]
- ρ:空気密度 [kg/m³]
- g:重力加速度 [m/s²]
- h:上下開口部の高さ差 [m]
- ρo,ρi:外気・室内の空気密度 [kg/m³]
この式からも分かるように、高さの差hの平方根に比例して換気量が増加します。
現場では、吹き抜けや階段室など上下に大きな開口を設けると、自然換気が効率的になる理由です。
2.温度差による換気量は、室内外の空気の密度差に比例して増加する。
→ 不適当(これが正解)
温度差による換気量は、密度差の平方根に比例します。
公式としては
\( Q = \alpha A \sqrt{\frac{2 g h (\rho_o – \rho_i)}{\rho}} \)
- Q:換気量 [m³/s]
- α:流量係数
- A:開口面積 [m²]
- ρ:空気密度 [kg/m³]
- g:重力加速度 [m/s²]
- h:上下開口部の高さ差 [m]
- ρo,ρi:外気・室内の空気密度 [kg/m³]
この式からも分かるように、密度差の平方根に比例して換気量が増加します。
3.風力による換気量は、外部風速に比例して増加する。
→ 正しい
風力換気の換気量は
\( Q = \alpha A v \sqrt{C_1 – C_2} \)
- Q:換気量 [m³/s]
- v:外部風速 [m/s]
- α:流量係数
- A:開口部面積 [m2]
- C1, C2:風圧係数
この式からも分かるとおり、換気量は風速に比例します。
つまり、風が2倍の速さで吹けば、同じ条件なら換気量も2倍になります。
4.風力による換気量は、風圧係数の差の平方根に比例して増加する。
→ 正しい
選択肢3の式の通り、風圧係数の差(C1−C2)の平方根に比例して換気量が増加します。
風圧係数は建物の形状や風向きによって決まり、風上側は正、風下側は負になることが多いです。
5.開口部の風圧係数は、正負の値をとる。
→ 正しい
風圧係数は、建物の風上側では正、風下側では負の値をとります。
これにより、風向きや開口部の位置によって換気の流れが生じます。
現場では、主要な風向や建物の配置によって、どの面の開口部が吸気・排気になるかを設計します。
自然換気まとめ
自然換気については以下の表を丸暗記すれば得点できるはずです!公式は覚えにくいと思うので、要点だけでも頑張って覚えましょう。
項目 | 風力換気 | 温度差換気 |
---|---|---|
原動力 | 外部の自然風 | 室内外の空気の密度差 |
換気力 | 風速の2乗に比例 風圧係数の差に比例 開口部前後の圧力差に比例 | 開口部の高さ差に比例 空気の密度差に比例 温度差に比例 |
換気量 | 風速に比例 風圧係数の差の平方根に比例 開口部前後の圧力差の平方根に比例 | 高さ差の平方根に比例 密度差の平方根に比例 温度差の平方根に比例 |
開口部の配置 | 風上・風下に開口部 | 上下に開口部 |
その他 | 開口部の風圧係数は、正負の値をとる。 開口部の風圧係数は、外部風の風向によって変化する。 |
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