ビル管理士 2020年(R2年) 問50  過去問の解説【空気環境の調整】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

自然換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.温度差による換気量は、給気口と排気口の高さの差の平方根に比例して増加する。
2.温度差による換気量は、室内外の空気の密度差に比例して増加する。
3.風力による換気量は、外部風速に比例して増加する。
4.風力による換気量は、風圧係数の差の平方根に比例して増加する。
5.開口部の風圧係数は、正負の値をとる。

回答と解説動画

正解は(2)

解説にて公式を使って説明をしていますが、計算問題が出るわけではないので文章で丸暗記したほうが効率が良いと思います。

1.温度差による換気量は、給気口と排気口の高さの差の平方根に比例して増加する。
→ 正しい
温度差換気(重力換気)では、建物内外の温度差によって生じる空気の密度差と、開口部の高低差による圧力差が原動力となります。
公式としては

\( Q = \alpha A \sqrt{\frac{2 g h (\rho_o – \rho_i)}{\rho}} \)

  • Q:換気量 [m³/s]
  • α:流量係数
  • A:開口面積 [m²]
  • ρ:空気密度 [kg/m³]
  • g:重力加速度 [m/s²]
  • h:上下開口部の高さ差 [m]
  • ρoi:外気・室内の空気密度 [kg/m³]

この式からも分かるように、高さの差hの平方根に比例して換気量が増加します。
現場では、吹き抜けや階段室など上下に大きな開口を設けると、自然換気が効率的になる理由です。

2.温度差による換気量は、室内外の空気の密度差に比例して増加する。
→ 不適当(これが正解)
温度差による換気量は、密度差の平方根に比例します。

公式としては

\( Q = \alpha A \sqrt{\frac{2 g h (\rho_o – \rho_i)}{\rho}} \)

  • Q:換気量 [m³/s]
  • α:流量係数
  • A:開口面積 [m²]
  • ρ:空気密度 [kg/m³]
  • g:重力加速度 [m/s²]
  • h:上下開口部の高さ差 [m]
  • ρoi:外気・室内の空気密度 [kg/m³]

この式からも分かるように、密度差の平方根に比例して換気量が増加します。

3.風力による換気量は、外部風速に比例して増加する。
→ 正しい
風力換気の換気量は

\( Q = \alpha A v \sqrt{C_1 – C_2} \)

  • Q:換気量 [m³/s]
  • v:外部風速 [m/s]
  • α:流量係数
  • A:開口部面積 [m2]
  • C1, C2:風圧係数

この式からも分かるとおり、換気量は風速に比例します。
つまり、風が2倍の速さで吹けば、同じ条件なら換気量も2倍になります。

4.風力による換気量は、風圧係数の差の平方根に比例して増加する。
→ 正しい
選択肢3の式の通り、風圧係数の差(C1−C2)の平方根に比例して換気量が増加します。
風圧係数は建物の形状や風向きによって決まり、風上側は正、風下側は負になることが多いです。

5.開口部の風圧係数は、正負の値をとる。
→ 正しい
風圧係数は、建物の風上側では正、風下側では負の値をとります。
これにより、風向きや開口部の位置によって換気の流れが生じます。
現場では、主要な風向や建物の配置によって、どの面の開口部が吸気・排気になるかを設計します。

自然換気まとめ

自然換気については以下の表を丸暗記すれば得点できるはずです!公式は覚えにくいと思うので、要点だけでも頑張って覚えましょう。

項目風力換気温度差換気
原動力外部の自然風室内外の空気の密度差
換気力風速の2乗に比例
風圧係数の差に比例
開口部前後の圧力差に比例
開口部の高さ差に比例
空気の密度差に比例
温度差に比例
換気量風速に比例
風圧係数の差の平方根に比例
開口部前後の圧力差の平方根に比例
高さ差の平方根に比例
密度差の平方根に比例
温度差の平方根に比例
開口部の配置風上・風下に開口部上下に開口部
その他開口部の風圧係数は、正負の値をとる。
開口部の風圧係数は、外部風の風向によって変化する。

解説動画

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