ビル管理士 2019年(R1年) 問100  過去問の解説【建築物の構造概論】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

電気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.「非常用の照明装置」は、停電を伴った災害発生時に安全に避難するための設備で、消防法により設置場所・構造が定められている。
2.インバータ制御は、交流電動機の回転速度調整や出力トルク調整が容易で、効率の大幅改善が期待できる。
3.電動機は、起動時に定格を超える電流が流れ異常振動等を起こすことがあるため、スターデルタ起動方式により運転するのが望ましい。
4.契約電力50kW以上の建築物の場合、高圧(6.6kV)で受電し、自家用変電設備で低圧(200V・100V)に変圧して給電する。
5.地階を除く階数が、11階以上の階に、非常コンセント設備の設置が義務付けられている。

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回答

正解は(1)

1.「非常用の照明装置」は、停電を伴った災害発生時に安全に避難するための設備で、消防法により設置場所・構造が定められている。
→不適当
非常用照明装置は建築基準法で設置が義務付けられており、消防法では規定されていません。
なお、消防法で規定されているのは誘導灯です。
また、非常用照明は、白熱灯の場合1ルクス以上、蛍光灯やLEDの場合2ルクス以上の照度が求められます。

非常用照明装置
誘導灯
ヘタ・レイ

ビルメン経験者であれば、消防設備点検のときに誘導灯、建築設備点検のときに非常照明の点検をしているのを確認しているはずです。
忘れてしまった場合は、実務で経験したことを思い出してみましょう。

2.インバータ制御は、交流電動機の回転速度調整や出力トルク調整が容易で、効率の大幅改善が期待できる。
→正しい
インバータは供給する電圧や周波数を細かく制御し、モーターの回転速度を自在に調整できます。これにより交流電動機の回転速度や出力トルクを精密に制御でき、省エネや効率向上が可能です。

3.電動機は、起動時に定格を超える電流が流れ異常振動等を起こすことがあるため、スターデルタ起動方式により運転するのが望ましい。
→正しい
スターデルタ起動方式は、電動機の始動電流を抑制する減電圧始動法の一つで、主に5.5kW以上の大容量三相誘導電動機に用いられます。
始動時はスター結線(電圧が低い)で起動し、電動機が加速された後、自動でデルタ結線(通常の電圧)に切り替わって通常運転に入ります。
これにより、始動電流を直接始動(全電圧始動)の約1/3に抑えることができ、電力系統への負担軽減や配線・ブレーカー容量の縮小が可能になります。

4.契約電力50kW以上の建築物の場合、高圧(6.6kV)で受電し、自家用変電設備で低圧(200V・100V)に変圧して給電する。
→正しい
契約電力が大きい建築物では高圧受電し、自家用変電設備(トランス)で低圧に変圧して建物内に給電することが一般的です。自家用変電設備(自家用電気工作物)の場合、保安監督のために電気主任技術者の選任が必要になります。

5.地階を除く階数が、11階以上の階に、非常コンセント設備の設置が義務付けられている。
→正しい
非常コンセント設備の設置が義務付けられるのは、地階を除く階数が11階以上の建築物や、地下街の延床面積が1,000㎡以上の場合と消防法により定められています。

非常コンセントとは、火災や災害時に消防活動や緊急作業で使用する電気機器に電力を供給するためのコンセント設備です。非常用の電源装置から給電されることが多く、停電時でも使用可能です。

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