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危険物の製造所・貯蔵所・取扱所の区分および手続など【危険物乙4テキスト】

2024年11月15日

ここでは指定数量以上の危険物を貯蔵、または取り扱う施設の区分や、施設を設置するために必要な手続きなどについて解説します。

指定数量については以下の記事で解説しています。

【関連記事】第4類危険物と指定数量

製造所等の区分

危険物に関連する施設は、「製造所」「貯蔵所」「取扱所」の3つがあり、消防法ではこれらをまとめて製造所等(せいぞうしょとう)と定義しています。

ヘタ・レイ
ヘタ・レイ

問題文に「製造所等」と表記されていても、貯蔵所や取扱所も含まれる点に注意しましょう。

それぞれの特徴は以下の通りです。

製造所

製造所とは危険物を製造する施設ことです。

貯蔵所

貯蔵所とは危険物をタンクドラム缶に入れて貯蔵、または取り扱う施設のことです。

なお、貯蔵所は施設の種類に応じて名称が異なりますので、以下の表で特徴などをおぼえてください。

施設の名称特徴
屋内貯蔵所屋内(建物内)で危険物を貯蔵し、または取り扱う施設。
屋外貯蔵所屋外で第2類危険物の硫黄引火性固体(引火点0℃以上のもの)第4類危険物のうち第1石油類(引火点0℃以上のもの)アルコール類第2~4石油類動植物油類を貯蔵し、または取り扱う施設。
屋外タンク貯蔵所屋外にあるタンクで危険物を貯蔵し、または取り扱う施設。
屋内タンク貯蔵所屋内にあるタンクで危険物を貯蔵し、または取り扱う施設。
地下タンク貯蔵所地盤面下(地下)に埋設されているタンクで危険物を貯蔵し、または取り扱う施設。
簡易タンク貯蔵所容量が600ℓ以下のタンクで危険物を貯蔵し、または取り扱う施設。
移動タンク貯蔵所車両に固定されたタンクで危険物を貯蔵し、また取り扱う施設。代表的なものではタンクローリーが該当。船舶や鉄道などは対象外。

「屋内や屋外」、「タンクの有無」など似たような言葉が多く混乱しやすいため正確に暗記しましょう。

ヘタ・レイ
ヘタ・レイ

タンクの有無などでひっかけ問題を作りやすいです。

なお、タンクとは以下のイラストみたいなもので、1つの容器で大量に危険物を貯蔵している状況をイメージしてください。

屋内貯蔵所や屋外貯蔵所など名称にタンクが付かない施設では、ドラム缶のような容量の小さな容器を複数使って危険物を貯蔵しています。

取扱所

取扱所とは、危険物を加工、給油、販売、移送などを目的として取り扱う施設のことです。

取扱所は施設の用途に応じて名称が異なりますので、以下の表で特徴などをおさえてください。

施設の名称特徴
給油取扱所固定された給油設備によって、自動車等の燃料タンクに直接給油するために危険物を取り扱う施設。ガソリンスタンドのことです。
第一種販売取扱所店舗において、容器入りのままで危険物を販売するために取り扱う施設。
※指定数量の倍数は15以下
第二種販売取扱所店舗において、容器入りのままで危険物を販売するために取り扱う施設。
※指定数量の倍数は15を超え40以下
移送取扱所配管やポンプなどで危険物の移送の取り扱いを行う施設。
一般取扱所上記以外で危険物の取り扱いをする取扱所。
ボイラー施設などが該当する。

微妙に名称が似ている施設があるため、違いをしっかり理解しましょう。

「超えると以上」、「未満と以下」

販売取扱所の特徴で「超える」や「以下」等の言葉が出ていますが、これらの違いがわからない方はこの機会に覚えて下さい。

  • 〇〇以上はその数値を含むが、〇〇を超えるはその数値を含まない。
    例)1以上なら1を含むが、1を超えるだと1は含まずそれより大きい数が該当する
  • 〇〇以下はその数値を含むが、〇〇未満はその数値を含まない。
    例)1以下なら1を含むが、1未満だと1を含まずそれより小さい数が該当する

製造所等の設置や変更の手続き

製造所等の設置や変更などをする際は、決められた手続きを行う必要があります。

必要な手続きには「許可」と「届出」の2種類がありますので、それぞれ紹介していきます。

許可と届出の違い

  • 許可:申請した行政庁から「許可」や「不許可」の判断を受ける行為
  • 届出:行政庁の判断がなく、必要な要件を満たしていれば行政庁に到達することで完了する行為

※届出より許可の方が重要

許可が必要な手続き

製造所等を設置する、または位置・構造・設備を変更する者は、市町村長等許可を受けなくてはいけません。

市町村長等は、申請のあった製造所等が技術上の基準に適合し、危険物の貯蔵や取り扱いに支障が無いかを判断し、問題無ければ許可を与えます。

ただし、消防本部および消防署を設置していない市町村区域では、当該区域を管轄する都道府県知事の許可が必要となります。

移送取扱所

移送取扱所は、設置・変更手続きのパターンが他の製造所等よりも2つ多いです。(消防法第11条)

  • 2以上の市町村にまたがる区域においての設置・変更の場合は、都道府県知事の許可を受ける。
  • 2以上の都道府県にまたがる区域においての設置・変更の場合は、総務大臣の許可を受ける。

移送取扱所では、複数の区域にまたがる場合という条件が追加されており、範囲の広さによって都道府県知事、総務大臣と申請先が異なりますので注意してください。

完成検査

許可を受けて製造所等の設置や変更をしたときは、市町村長等が行う完成検査を受けたあとでなければ、当該製造所等の使用が出来ません。検査を行った結果、使用に問題が無いと判断されれば、申請した者に「完成検査済証」が交付されます。

ただし、変更の場合において当該変更工事に関わる部分以外に関しては、市町村長等の承認を受けることで、完成検査を受ける前でも使用することが出来ます。これを「仮使用承認」と呼びます。

ヘタ・レイ
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新たなに製造所等を設置するときと違い、位置・構造・設備などの変更では既に使用していた部分もあるわけですから、このような特例が設けられています。

完成検査前検査

ややこしい名前ですが、完成検査検査というものもあります。

完成検査検査は、液体の危険物を貯蔵、または取り扱うタンクを設置・変更する場合に必要な検査で、「完成検査」の前に受ける必要があります。

タンクを要する施設では、工事が完了してしまうとタンクの内部の検査が出来なくなるため、このようなルールが設けられています。

なお、完成検査前検査で適合していると認められる部分に関しては、完成検査を受ける必要はありません。

届出が必要な手続き

製造所等において、届け出が必要な手続きは以下の表のとおりです。なお、申請先は全て市町村長等になります。

手続きの種類申請の期限
製造所等の譲渡・引き渡し譲渡・引き渡し後遅滞なく
※申請者は譲り受けた者
製造所等の廃止廃止後遅滞なく
危険物の品名・数量又は指定数量の倍数変更変更の10日前まで
危険物保安統括管理者の選任・解任選任・解任後遅滞なく
危険物保安監督者の選任・解任選任・解任後遅滞なく

なお、上記表の中で「危険物の品名変更」に関しては、消防法別表第1において同類、同ランクの危険物で数量・指定数量が同数の場合、物品名を変更しても届出の必要はありません。

例えば、第4類(第1石油類)のガソリンを扱う製造所等が、同じく第4類(第1石油類)のベンゼンに変更する場合、数量または指定数量が同数であれば、変更の届出は不要という事になります。

仮貯蔵と仮取扱い

製造所等以外の場所でも、所轄の消防長または消防署長承認を受けることで、指定数量以上の危険物を仮に貯蔵し、取り扱うことが出来ます。ただし、期間は10日以内とされています。

ヘタ・レイ
ヘタ・レイ

許可や届出ではなく「承認」である事と、10日以内という期間は覚えておきましょう。

プロフィール
ヘタ・レイ

ビルメンYouTuberのヘタ・レイ。
保有資格:電験三種、ビル管理士、行政書士、宅建士、電工一種、危険物乙4、消防設備士、2級ボイラー技士、2種冷凍機械、日商簿記2級、FP2級など。
これまでの経験と保有資格を活かしてオリジナル問題を作成しています。
ビルメン情報ブログもよろしくお願いします。