問題
騒音とその影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 騒音の測定において用いられるA特性は、人の耳の感度に近い特性を組み込んでいるものである。 |
2. | 事務室の騒音レベルは、一般に50~60dBである。 |
3. | 騒音性難聴の初期の特徴は、4,000Hz付近の音に対する聴力低下である。 |
4. | 騒音による永久性の聴力障害がほとんど起こらないのは、1日の曝露(ばくろ)騒音として等価騒音レベルが85dB以下のときである。 |
5. | 血圧の上昇は、騒音による健康影響の一つとして知られている。 |
回答と解説動画
正解は(4)
1.騒音の測定において用いられるA特性は、人の耳の感度に近い特性を組み込んでいるものである
→正しいです。A特性音圧レベルは、人間の聴覚の周波数特性を考慮した騒音の大きさを表す尺度であり、ビル管理士試験でも「A特性=人間の耳の感度に合わせた補正である」として頻出です。
特性 | 周波数特性・重み付け | 主な用途・特徴 | 現在の主な利用状況 |
---|---|---|---|
A特性 | 人間の聴覚感度に合わせて補正(中音域重視) | 一般的な騒音測定、人のうるささ評価 | 最も一般的、環境騒音・法規制 |
B特性 | A特性とC特性の中間(中程度の補正) | かつては60dB程度の中程度の音の測定に使用 | 現在はほとんど使われない |
C特性 | ほぼフラット(低音・高音も拾う) | 大きな音や衝撃音の測定 | 一部の工場騒音や特殊用途 |
Z特性 | 補正なし(完全フラット) | 物理的な音圧レベルの測定、信号解析 | 機械的な音の測定や解析 |
2.事務室の騒音レベルは、一般に50~60dBである
→正しいです。事務室の一般的な騒音レベルの目安として理解されています。
3.騒音性難聴の初期の特徴は、4,000Hz付近の音に対する聴力低下である
→正しいです。騒音性難聴は「4,000Hz付近の聴力低下」から始まることが特徴であり、過去問でも繰り返し問われています。
4.騒音による永久性の聴力障害がほとんど起こらないのは、1日の曝露騒音として等価騒音レベルが85dB以下のときである
→不適当です。一般の環境騒音に関しては、1日の曝露騒音として等価騒音レベルが70dB未満であれば、永久性の聴力障害はほとんど起こらないとされています。
5.血圧の上昇は、騒音による健康影響の一つとして知られている
→正しいです。騒音は自律神経系を刺激し、血圧上昇やストレス反応などの健康影響を引き起こすことが知られています。
ポイント
- A特性音圧レベルは「人間の聴覚に合わせた騒音評価方法」として必ず押さえておく。
- 騒音性難聴の初期症状は「4,000Hz付近の聴力低下(C5ディップ)」。
- 事務室の騒音レベルは50~60dB程度だが、数値自体は頻出ではなく目安として出題されることがある。
- 永久性の聴力障害がほとんど起こらないのは「70dB未満」。
- 騒音による健康影響には「血圧上昇・自律神経刺激」などがある。
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