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移動タンク貯蔵所の技術基準【危険物乙4テキスト】

2024年11月26日

車両に固定されたタンクで、指定数量以上の危険物を貯蔵、取り扱う施設のことを移動タンク貯蔵所といいます。

ここでは移動タンク貯蔵所に求められる構造や設備の基準について解説します。

ヘタ・レイ
ヘタ・レイ

移動タンク貯蔵所で代表的なものはタンクローリーです。
なお、船舶や鉄道は含まれないので勘違いしないようにしてくださいね。

移動タンク貯蔵所の技術基準

  • 保安距離:不要
  • 保有空地:不要
  • 移動貯蔵タンクは、厚さ3.2mm以上の鋼板、又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で気密に造るとともに、圧力タンクを除くタンクにあっては70kPaの圧力で、圧力タンクにあっては最大常用圧力の1.5倍の圧力で、それぞれ10間行う水圧試験において、漏れ、又は変形しないものにする。
  • 移動貯蔵タンクは、容量を30,000ℓ以下とし、タンクの内部は4,000ℓ以下ごとに完全な間仕切を厚さ3.2mm以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で設ける。
  • タンクの間仕切により仕切られた部分には、それぞれマンホール安全装置を設けるとともに、容量が2,000ℓ以上のタンク室には防波板を2か所設ける。
    (タンク室とは、タンク内の間仕切りによって仕切られたスペースの事です。)
  • 移動貯蔵タンクのマンホール及び注入口のふたは、厚さ3.2mm以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で造る。
  • 移動貯蔵タンクに可燃性の蒸気を回収するための設備を設ける場合にあっては、当該設備は可燃性の蒸気が漏れるおそれのない構造とする。
  • マンホール、注入口、安全装置等が上部に突出している移動貯蔵タンクには、それらの損傷を防止するための装置を設ける。
  • 移動貯蔵タンクの外面には、錆止めのための塗装をする。
  • 移動貯蔵タンクの下部に排出口を設ける場合は、当該タンクの排出口に底弁を設ける。また、非常の場合に底弁を閉鎖することができる手動閉鎖装置及び自動閉鎖装置を設ける。ただし、引火点が70℃度以上の第4類の危険物の移動貯蔵タンクの排出口又は直径が40mm以下の排出口に設ける底弁には、自動閉鎖装置を設けないことができる。
  • 手動閉鎖装置には、長さが15㎝以上あるレバーを設け、その直近にその旨を表示する。
  • 底弁を設ける移動貯蔵タンクには、外部からの衝撃による底弁の損傷を防止するための措置を講ずる。
  • 移動貯蔵タンクの配管は、先端部に弁等を設ける。
  • 移動貯蔵タンク及び附属装置の電気設備で、可燃性の蒸気が滞留するおそれのある場所に設けるものは、可燃性の蒸気に引火しない構造とする。
  • ガソリン、ベンゼンその他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物の移動貯蔵タンクには、接地導線を設ける。
  • 液体の危険物の移動貯蔵タンクには、危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクの注入口と結合できる結合金具を備えた注入ホースを設ける。この場合において、当該結合金具(第六類の危険物の移動貯蔵タンクに係るものを除く。)は、真鍮ちゆうその他摩擦等によつて火花を発し難い材料で造らなければならない。
  • ガソリン、ベンゼンその他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物の移動貯蔵タンクのうち計量棒によって当該危険物の量を計量するものには、計量時の静電気による災害を防止するための装置を設ける。
  • 移動貯蔵タンクには、当該タンクが貯蔵、取り扱う危険物の類、品名及び最大数量を表示する設備や標識を見やすい箇所に設ける。
  • 黒色の板に黄色の反射塗料で「危」と書かれた標識を車両の前後に設ける。(前後なので計2つ掲げる)
  • 自動車用消火器を2個以上備える。

車両の保管場所

移動タンク貯蔵所は、以下の条件を守って車両を保管しなくてはいけません。

  • 屋外保管:防火上安全な場所を選ぶ。
  • 屋内保管:壁・床・はり・屋根を耐火構造もしくは不燃材料で作り、建物の1階で保管する。
  • 保管場所を変更する場合は変更許可が必要。
ヘタ・レイ
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車両を駐車(常置)するスペースは、屋内、屋外ともに可能です。
屋内の場合は、建物の1階部分に限定されますので覚えておきましょう!

移送の基準

移動タンク貯蔵所で危険物を運ぶ際は、決められたルールを守らなくてはいけません。

具体的には以下のようなものがあります。

  • 貯蔵する危険物に応じた危険物取扱者を乗車させる。※指定数量未満でも乗車義務あり
  • 乗車している危険物取扱者は、免状を携帯しなければいけない。(自宅や会社に免許を置いておくのはダメ)
  • 移送の開始前に、移動貯蔵タンクの底弁その他の弁マンホール及び注入口のふた、消火器等点検を十分に行なう。
  • 長時間にわたるおそれがある移送であるとき、2人以上の運転要員を確保する。
  • 移動タンク貯蔵所を休憩、故障等のため一時停止させるときは、安全な場所を選ぶ。
  • 移動貯蔵タンクから危険物が著しくもれる等災害が発生するおそれのある場合には、災害を防止するため応急措置を講ずるとともに、もよりの消防機関その他の関係機関に通報する。
ヘタ・レイ
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貯蔵・取り扱う危険物の種類が対応していれば、免状は丙種でもOKです!
なお、危険物取扱者の免状を持っている人が車両の運転をする必要はありませんので、運転手と危険物取扱者は別々の人でも可です。

取扱いの基準

移動タンク貯蔵所において危険物を取扱う際の基準には以下のようなものがあります。

  • 移動貯蔵タンクから、危険物の貯蔵・取扱いのためのタンクに液体危険物を注入するときは、当該タンクの注入口に移動貯蔵タンクの注入ホースを緊結する。※緊結(きんけつ)とは、緩みやズレなどが生じないように接続することです
  • 移動貯蔵タンクから、液体の危険物を容器(携行缶など)に詰め替えてはいけない。ただし、引火点が40℃以上の第4類の危険物を詰め替えるときは、この限りでない。
  • ガソリン、ベンゼンその他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物を移動貯蔵タンクに入れ、又は移動貯蔵タンクから出すときは、当該移動貯蔵タンクを接地する。
  • 移動貯蔵タンクから、危険物の貯蔵・取扱いのためのタンクに引火点が40℃未満の危険物を注入するときは、移動タンク貯蔵所の原動機(エンジン)を停止させる。
  • ガソリン、ベンゼンその他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物を移動貯蔵タンクにその上部から注入するときは、注入管を用いるとともに、当該注入管の先端を移動貯蔵タンクの底部に着ける。
  • ガソリンを貯蔵していた移動貯蔵タンクに灯油若しくは軽油を注入するとき、又は灯油若しくは軽油を貯蔵していた移動貯蔵タンクにガソリンを注入するときは、静電気等による災害を防止するための措置を講ずる。

備えつける書類等

移動タンク貯蔵所は、以下の4つの書類を車両に備えておかなくてはいけません。(書類を事務所に置いてるだけではダメ!)

  • 完成検査済証
  • 定期点検記録
  • 譲渡・引渡の届出書
  • 品名・数量・指定数量の倍数の変更届出書
ヘタ・レイ
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移動タンク貯蔵所はボリュームが多く大変ですが、練習問題で出題している箇所だけでも覚えておけば本番では消去法で答えに辿り着けるはずです。

プロフィール
ヘタ・レイ

ビルメンYouTuberのヘタ・レイ。
保有資格:電験三種、ビル管理士、行政書士、宅建士、電工一種、危険物乙4、消防設備士、2級ボイラー技士、2種冷凍機械、日商簿記2級、FP2級など。
これまでの経験と保有資格を活かしてオリジナル問題を作成しています。
ビルメン情報ブログもよろしくお願いします。