特定建築物が使用される至ったときは届出をしなければいけません。
どのような建物が特定建築物に該当するかは以下の記事で解説しています。
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特定建築物の届出
届出義務者
- 特定建築物の所有者または全部の管理について権原を有する者
- 区分所有や共有の場合は、連名で1通の届出が望ましい
- 公共施設も届出が必要
届出先
- 都道府県知事(保健所を設置する市または特別区の場合は、市長または区長)
- 実務上は、所在地の保健所に提出するケースが多い
届出のタイミング
以下の条件に該当する場合、「その日から1か月以内」に届出が必要です。
- 新たに特定建築物を使用する開始するとき
- 届出事項に変更があったとき
- 特定建築物に該当しなくなったとき
届出事項
- 建築物の名称
- 所在地
- 用途
- 特定用途部分の延べ面積
- 構造設備の概要
- 所有者・管理権原者の氏名・住所
- 建築物環境衛生管理技術者の氏名・住所・免状番号
- 使用開始年月日
※「竣工年月日」や「建築確認済証の写し」などは届出事項に含まれません(試験で問われやすいポイント)
届出様式
- 法律で様式は定められていません
- 自治体(都道府県)ごとに定められた様式を使用します(多くは自治体HPでダウンロード可)
帳簿書類
特定建築物の所有者等は、特定建築物の維持管理に関し環境衛生上必要な事項を記載した帳簿書類を備えておく必要があり、その保存期間は以下の通りです。
- 5年間保存:空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ等の防除の状況、その他特定建築物の維持管理に関し環境衛生上必要な事項を記載した帳簿書類
- 永久保存:平面図、断面図、設備の配置図、系統図
立入検査
都道府県知事(保健所を設置する場合は市長又は区長)は、必要があると認めるときは、特定建築物の所有者等に必要な報告をさせたり、立入検査をすることができます。
実施者
立入検査を行う職員を環境衛生監視員といいます。当該職員は身分を示す証明書を携帯する必要があります。
注意点
- 犯罪捜査のために行ってはならない
- 住居に立ち入る場合は、居住者の承諾を得る
処分
都道府県知事(保健所を設置する場合は市長又は区長)は、特定建築物の維持管理が建築物環境衛生管理基準に従って行なわれておらず、かつ、当該特定建築物内における人の健康をそこない、又はそこなうおそれのある事態その他環境衛生上著しく不適当な事態が存すると認めるときは、特定建築物の所有者や維持管理権原者に対し、維持管理の方法の改善命令や、当該事態がなくなるまでの間、特定建築物の一部の使用停止、制限をすることができます。
ただし、国又は地方公共団体の公用または公共の用に供する特定建築物の場合は、立入検査や改善命令の規定は適用されず、資料の提出や勧告などを行うだけにとどまります。
建築物環境衛生管理技術者
特定建築物の所有者等は、特定建築物の維持管理が環境衛生上適正に行われるように、建築物環境衛生管理技術者を選任し、その者に監督させなければいけません。
建築物環境衛生管理技術者になれるもの
- 建築物環境衛生管理技術者の免状を有する者
- 特定建築物の所有者等と直接の雇用関係は不要
- 業務の遂行に支障がなければ、2以上の特定建築物の建築物環境衛生管理技術者に選任されることも可能
- 選任された特定建築物に常駐している必要はない
職務
特定建築物の維持管理が環境衛生上適切に行われているか確認する。
具体的には以下の通り。
- 管理業務計画の立案
- 管理業務の指揮監督
- 測定又は検査結果の評価
- 各種調査の実施
権限
建築物環境衛生管理技術者は、特定建築物の維持管理について必要と認める場合は、特定建築物の維持管理権原者(所有者等)に対し、意見を述べることができる。
また、当該権原者は、その意見を尊重しなければいけません。
※あくまで意見を述べるだけなので、命令のように強い拘束力はありません。
免状
建築物環境衛生管理技術者の免状を取得する方法は以下の2つです。
- 登録講習機関が行う講習会の過程を修了
- 国家試験に合格
免状は厚生労働大臣が交付します。
厚生労働大臣は、免状の交付を受けている者が建築物衛生法に違反した場合は、免状の返納を命ずることができます。
また、免状の返納を命じられ、その日から起算して1年を経過しない者には、免状の交付を行わないことができます。
免状を汚したり紛失した場合は再交付が可能で、失った免状を発見したときは、5日以内にこれを厚生労働大臣に返還しなくてはいけません。また、免状の記載事項に変更を生じたときは、免状の書換え交付を申請することができます。
免状保有者が死亡した場合は、戸籍法に規定する届出義務者は、1か月以内に免状を返還しなくてはいけません。
建築物衛生法に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられた者で、その執行が終わった日から起算して2年を経過しない者には、免状が交付されない場合があります。
罰則
以下に該当すると30万円以下の罰金に処せられます。
- 特定建築物の届出を怠ったり、虚偽の届出をする
- 帳簿書類を備え付けていない、帳簿書類に記載しない、虚偽の記載をする
- 建築物環境衛生管理技術者の選任していない
- 報告や立入検査の拒否、虚偽の報告
- 改善命令への違反
以下に該当すると10万円以下の過料に処せられます。
- 厚生労働大臣から免状の返納を命じられたのに返納をしない
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