ビル管理士 2024年(R6年) 問92  過去問の解説【建築物の構造概論】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

建築物の基礎構造と地盤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.沖積層は、一般に大きな地耐力を有する。
2.標準貫入試験は、地盤の強度や変形等の情報を得るために行う。
3.液状化は、海岸や埋立地等で起こりやすい。
4.圧密は、粘土質地盤に圧力がかかり水分が徐々に逸出し地盤が圧縮されることをいう。
5.地業は、基礎スラブより下に設けた割ぐり石、捨てコンクリート等の部分をいう。
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回答と解説動画

正解は(1)

1.沖積層は、一般に大きな地耐力を有する。
→不適当
沖積層(ちゅうせきそう)は、河川などによって運ばれて堆積した新しい土砂からなる地層であり、一般に締まりが緩く水分を多く含むため、地耐力は小さい。建築においては不同沈下や液状化のリスクが高いため、注意が必要。
以下は、ビル管理士試験で出題される地層とその特徴です。

  • 沖積層:最も新しい地層で軟弱。地耐力が小さく、液状化に注意。
  • 洪積層:中程度に古く、比較的安定。住宅地に適する。
  • 第三紀層:最も古く、非常に安定。杭基礎の支持層に利用される。土丹層とも呼ばれる。

2.標準貫入試験は、地盤の強度や変形等の情報を得るために行う。
→正しい
標準貫入試験は、地盤中にサンプラーを打ち込んで打撃回数(N値)を測定することで、地盤の硬軟、締まり具合、支持力、液状化の判定などの基礎情報を得るために行う。
以下の画像のように、やぐらを組んで専用の器具を地中に打ち込みます。

3.液状化は、海岸や埋立地等で起こりやすい。
→正しい
液状化は、緩い砂地盤で地震動により地下水が噴き上がり、地盤が一時的に液体状になる現象であり、特に海岸沿いの埋立地や低地部の砂質土壌で起こりやすいです。

4.圧密は、粘土質地盤に圧力がかかり水分が徐々に逸出し地盤が圧縮されることをいう。
→正しい
圧密(あつみつ)とは、土が上からの力(荷重)によって、水や空気が排出されて体積が減少し、密な状態になる現象のことです。時間とともに沈下が進むため、建物の設計では重要な考慮点となります。

5.地業は、基礎スラブより下に設けた割ぐり石、捨てコンクリート等の部分をいう。
→正しい
地業(じぎょう)とは、基礎構造物の直下の地盤を補強・整形するために設けられる部分で、割ぐり石、捨てコン、砂、砕石等で構成される。基礎の支持性と安定性を高める役割があります。

「基礎スラブ」とは、建物の荷重を地盤に伝えるための鉄筋コンクリートの板状構造を指します。

基礎スラブ
出典:タイセーハウジング

「捨てコン」とは、基礎工事前に掘削した土の上面に打設されるコンクリートのことです。建物の基礎や構造部材の強度には直接関係なく、墨出しや型枠設置の下地、高さの基準点などとして使われます。厚さは一般的に50mmから100mm程度です。

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