ビル管理士 2024年(R6年) 問50  過去問の解説【空気環境の調整】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

熱放射に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.常温物体から射出される電磁波は、波長が10μm付近の赤外線が主体である。
2.アスファルトは、新しい亜鉛鉄板より長波長放射率が大きい。
3.放射熱伝達式の簡略化では、放射熱伝達率が用いられる。
4.アスファルトは、光ったアルミ箔(はく)より日射吸収率が大きい。
5.物体表面から放射される単位面積当たりの放射熱流は、絶対温度の二乗に比例する。
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回答と解説動画

正解は(5)

1.常温物体から射出される電磁波は、波長が10μm付近の赤外線が主体である。
→ 正しいです。常温(約20℃)の物体は、赤外線(10μm付近)を主に放射します。そのまま暗記してください。

2.アスファルトは、新しい亜鉛鉄板より長波長放射率が大きい。
→ 正しいです。アスファルトの長波長放射率は約0.9、新しい亜鉛鉄板は約0.1~0.2です。

3.放射熱伝達式の簡略化では、放射熱伝達率が用いられる。
→ 正しいです。放射伝熱を簡略化する際、放射熱伝達率が用いられます。

4.アスファルトは、光ったアルミ箔より日射吸収率が大きい。
→ 正しいです。アスファルトの日射吸収率は約0.9、光ったアルミ箔は約0.1です。

5.物体表面から放射される単位面積当たりの放射熱流は、絶対温度の二乗に比例する。
→ 不適当です。シュテファン・ボルツマンの法則により、放射熱流は絶対温度の4乗に比例します。2乗は誤りです。

ステファン・ボルツマンの法則は、物体の温度が上昇すると、その物体から放射される熱エネルギーの量が指数関数的に増加することを意味します。
放射エネルギー = 放射率 × 定数 × 温度の4乗
(温度の4乗に比例するので、温度の影響がきわめて大きい)

ポイント

以下の表は材料ごとの放射率と日射吸収率を一覧にしたものです。選択肢2や4は頻出問題なので、この表を覚えておけば得点できます。

材料名放射率
(長波長放射率)
日射吸収率
白色プラスター0.90.1
白色ペイント0.90.2
黒色ペイント0.90.9
アスファルト0.90.9
木材(松板)0.60.9
新しい亜鉛鉄板0.20.74
酸化した亜鉛鉄板0.30.8
光ったアルミ箔0.10.1
ヘタ・レイ

覚えるのが大変な場合は、光ったアルミ箔が0.1、黒系材料は0.9とだけでも覚えておけば消去法で正解できるかもしれません。
また、別の過去問(2021年問48)では以下のような図を用いた問題も出題されています。
この図は、上記表に掲載されている一部の材料に関する数値を直感的に見やすくまとめています。

日射吸収率と長波長放射率まとめ

日射吸収率とは?

  • 日射吸収率は、「太陽の光(主に可視光線や近赤外線)を、物体がどれだけ吸収するか」を表す割合です。
  • 太陽光の波長(約300~2,500nm)の範囲で、値が大きいほど太陽の熱をよく吸収し、値が小さいほど吸収しない(反射や透過が多い)ことを意味します。
  • たとえば、黒い屋根やアスファルトは日射吸収率が高く、白い壁やアルミ箔は低いです。

長波長放射率とは?

  • 長波長放射率は、「物体が自分の熱を赤外線(主に10μm付近)として外に放射する割合」です。
  • これは、物体自体が温かいときに放出する赤外線(熱放射)のしやすさを示します。
  • 値が大きいほど熱をよく放射し、値が小さいほど熱を放射しにくい(熱をためこみやすい)です。
  • たとえば、アスファルトや白色ペイントは放射率が高く、光ったアルミ箔は低いです。

ポイントまとめ

  • 日射吸収率:太陽の熱をどれだけ吸収するか(昼間の熱のたまりやすさに関係)
  • 長波長放射率:自分の熱をどれだけ外に放射するか(夜間の冷えやすさ、保温性に関係)
  • この2つは材料や色によって違い、必ずしも同じ値ではありません

  • アスファルト・黒系の材:日射吸収率も放射率も高い(よく熱を吸収し、よく熱を放射する)
  • 白色ペイント:日射吸収率は低いが、放射率は高い
  • 光ったアルミ箔:日射吸収率も放射率も低い(熱を吸収しにくく、放射もしにくい)

解説動画

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