問題
給水設備の汚染に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | クロスコネクションとは、飲料水系統と他の配管系統を配管などで直接接続することである。 |
2. | 大容量の貯水槽の場合は、槽内に迂回壁(うかいへき)を設置して滞留域の発生を抑制する。 |
3. | 大便器洗浄弁には、大気圧式バキュームブレーカを設置する。 |
4. | 上水配管から消火系統への水の補給は、消火用水槽を設けて行う。 |
5. | 洗面器における吐水口空間は、水栓の吐水口端と水受け容器のオーバフロー口との垂直距離である。 |
回答と解説動画
正解は(5)
1.クロスコネクションとは、飲料水系統と他の配管系統を配管などで直接接続することである。
→正しい
クロスコネクションというのは、飲み水として使う配管と、そうでない配管(井戸水、工業用水など)が直接つながってしまうことを指します。
こうなると、万が一逆流が起きたときに、汚れた水が飲み水側に混ざってしまう危険があります。
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2.大容量の貯水槽の場合は、槽内に迂回壁(うかいへき)を設置して滞留域の発生を抑制する。
→正しい
大きな貯水槽では、水の流れが悪くなって、動かない水の部分(滞留域)ができやすくなります。こうした場所では塩素が抜けやすくなったり、細菌が繁殖しやすくなったりして、水質が悪くなるリスクが高まります。そこで、貯水槽の中に迂回壁という仕切りを設けて、水の流れを作り、滞留域ができないように工夫します。これによって、貯水槽の中の水がまんべんなく循環し、衛生的に保たれます。
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3.大便器洗浄弁には、大気圧式バキュームブレーカを設置する。
→正しい
大便器の洗浄弁には、逆流を防ぐ目的で「大気圧式バキュームブレーカ」が使われます。
これは、洗浄中などに給水管内で一時的に負圧(吸い込みの力)が発生した場合に、自動で空気を取り込んで圧力を戻すしくみです。これによって、汚れた水が給水管へ逆流するのを防止します。
バキュームブレーカには主に2種類あります。
- 圧力式バキュームブレーカ:常時水圧がかかる場所に使用
- 大気圧式バキュームブレーカ:水圧が一時的にしかかからない場所に使用
大便器の洗浄弁は、水が流れるのは一瞬だけで、常に水圧がかかっているわけではないため、大気圧式バキュームブレーカを使うのが正しい選定です。
4.上水配管から消火系統への水の補給は、消火用水槽を設けて行う。
→正しい
消火設備に水を補給する場合、上水道の配管と直接つなぐのではなく、必ず吐水口空間を設けた消火用水槽を間に設けて行います。こうすることで、消火用の配管に入った水が、逆流して上水道を汚すのを防ぐことができます。
5.洗面器における吐水口空間は、水栓の吐水口端と水受け容器のオーバフロー口との垂直距離である。
→不適当
洗面器における吐水口空間とは、水栓の先端と洗面器の「あふれ縁」(満水時の水面)との垂直距離を指します。
この「あふれ縁」は、洗面器に水を満たしたときに水がこぼれ始める最上部のことで、オーバーフロー口の位置とは異なります。
この距離が適切に確保されていないと、排水が逆流した際に給水配管内に汚れた水が混入するおそれがあり、飲料水の衛生確保の観点から非常に重要な設計ポイントとなります。
各部位の名称は以下の画像を参考にしてください。
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ちなみにオーバーフロー口は下の写真(赤丸)のところです。オーバーフロー口に入った水は、そのまま排水管に落ちていきます。
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洗面器って聞くとお風呂で使うアレを思い出しそうですが、実際は洗面所の手洗いのことですからね。
解説動画
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