問題
建築物の荷重と構造力学に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 教室の床の構造計算をする場合の積載荷重は、一般に事務室より大きく設定されている。 |
2. | 地震力は、地震により建築物が振動することで生じる慣性力である。 |
3. | 片持ち梁(ばり)に分布荷重が作用する場合、その先端にはせん断力は生じない。 |
4. | 支点には、固定端、回転端(ピン)、移動端(ローラ)の3種類がある。 |
5. | 風圧力は、時間とともに変化する動的な荷重である。 |
回答と解説動画
正解は(1)
1. 教室の床の構造計算をする場合の積載荷重は、一般に事務室より大きく設定されている。
→ 不適当
建築基準法施行令によると、教室の積載荷重は2300N/m²、事務室は2900N/m²と定められています。事務室の方が荷重設定が大きいため、この記述は誤りです。
数値まで覚える必要はないですが、どちらの積載荷重が大きく設定されているかは覚えておきましょう。
2. 地震力は、地震により建築物が振動することで生じる慣性力である。
→ 正しい
地震力は、地震によって建物が揺れる際に生じる慣性力のことです。地震の揺れによって建物が動き始めようとする際に、慣性の法則によって建物に働く力です。
3. 片持ち梁に分布荷重が作用する場合、その先端にはせん断力は生じない。
→ 正しい
片持ち梁は、一端が固定され、もう一端が自由端(先端)となっている梁です。
この梁に分布荷重や集中荷重が作用する場合、せん断力は固定端から先端に向かって変化し、先端(自由端)では必ず0になります。
たとえば、片持ち梁に等分布荷重がかかる場合、せん断力は固定端で最大となり、先端に向かって直線的に減少し、先端で0になります。また、集中荷重が先端にかかる場合も、先端の断面を考えると、外力を受ける点そのものなので、先端の外側には荷重が存在せず、せん断力も0です
4. 支点には、固定端、回転端(ピン)、移動端(ローラ)の3種類がある。
→ 正しい
支点はこの3種類に分類されます。
- 固定端:あらゆる方向の移動と回転を拘束する支点です。例えば、壁に直接取り付けられた梁などが該当します。
- 回転端(ピン支点):水平方向と垂直方向の移動は拘束しますが、回転は自由にできる支点です。例えば、軸で固定された梁などが該当します。
- 移動端(ローラ支点):垂直方向の移動は拘束しますが、水平方向と回転は自由にできる支点です。例えば、ローラーで支えられた梁などが該当します。
5. 風圧力は、時間とともに変化する動的な荷重である。
→ 正しい
風圧力は風速の変動に伴い時間的に変化するため、動的荷重として扱われます。
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