ビル管理士 2023年(R5年) 問86  過去問の解説【空気環境の調整】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

騒音・振動問題の対策に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.新築の建物の使用開始直後において、騒音・振動について設計目標値を満たしているにもかかわらず発生するクレームは、保守管理責任の範疇ではない。
2.外部騒音が同じ場合、コンサートホール・オペラハウスの方が録音スタジオよりも高い遮音性能が求められる。
3.空気伝搬音を低減するためには、窓・壁・床等を遮音する必要がある。
4.経年による送風機の音・振動の発生状況に問題がないか確認するため、ベルトの緩み具合などを定期的に検査する。
5.寝室における騒音は、骨伝導で感知される固体伝搬音も評価する必要がある。
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回答と解説動画

正解は(2)

1.新築の建物の使用開始直後において、騒音・振動について設計目標値を満たしているにもかかわらず発生するクレームは、保守管理責任の範疇ではない。
→ 正しい
設計目標値を満たしているため、保守管理責任の範疇とはなりません。とはいえ、クレームの対応は必要です。

2.外部騒音が同じ場合、コンサートホール・オペラハウスの方が録音スタジオよりも高い遮音性能が求められる。
→ 不適当

録音スタジオは非常に高い遮音性能が求められる特殊な施設です。コンサートホールやオペラハウスも高い遮音性能が必要ですが、録音スタジオの方がより厳しい基準となるのが一般的です。

3.空気伝搬音を低減するためには、窓・壁・床等を遮音する必要がある。
→ 正しい
空気伝搬音は空気を介して伝わる音なので、窓・壁・床などの遮音性能を高めることが対策の基本です。
ちなみに、固体伝搬音の主な対策は以下の通りです

  • 防振ゴムや防振マットを使う
    振動源(洗濯機、機械、家具の脚など)と床・壁の間に防振ゴムやマットを挟むことで、振動が建物に伝わるのを抑えます。
  • カーペットや防音マットを敷く
    床にカーペットや厚みのある防音マットを敷くことで、足音や物を落としたときの衝撃を吸収し、振動の伝播を減らします。
  • 構造体を重く・剛性を高くする
    振動しにくい重い構造体にすることで、振動の伝播を抑える効果があります。

4.経年による送風機の音・振動の発生状況に問題がないか確認するため、ベルトの緩み具合などを定期的に検査する。
→ 正しい
送風機や機械設備の騒音・振動管理では、ベルト(ファンベルト)の緩みや摩耗などを定期的に点検することが重要です。
以下は送風機の写真です。左下から右上にわたって繋がっている黒いゴムのようなものがファンベルトです。
ファンベルトは経年で劣化するため定期的な交換が必要です。

出典:日本空調メンテナンス

5.寝室における騒音は、骨伝導で感知される固体伝搬音も評価する必要がある。
→ 正しい
寝室では、壁や床を伝わる固体伝搬音(骨伝導音)も無視できません。特に静かな環境では、固体伝搬音が不快感や睡眠障害の原因となるため、評価や対策が必要です。

  • 固体伝搬音(建物などの構造体を伝わる振動によって発生する音)
    • ダクト・管路系の振動に起因する音
    • 洗濯機やエレベーターなど機械の振動音
    • 外部の鉄道や工事の振動音
  • 空気伝搬音(空気の振動として伝わる音)
    • 隔壁・隙間等を透過してくる空調機から発生した音
    • ダクト内を伝搬して給排気口から放射される音
    • 窓から入る道路交通騒音

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