問題
浮遊粉じんの測定法と測定器に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 浮遊粉じんの浮遊測定法には、吸光光度法がある。 |
2. | 浮遊粉じんの捕集測定法には、フィルタ振動法がある。 |
3. | デジタル粉じん計は、粉じんによる散乱光の波長により相対濃度を測定する。 |
4. | 建築物環境衛生管理基準に基づき、ローボリウムエアサンプラ法を用いる場合は、分粒装置を装着する必要がある。 |
5. | デジタル粉じん計は、経年による劣化などが生じることから定期的に較正を行う必要がある。 |
回答と解説動画
正解は(3)
1. 浮遊粉じんの浮遊測定法には、吸光光度法がある。
→ 正しい
吸光光度法は浮遊粉じんの浮遊測定法の一つで、空気中に浮遊する粉じんによって光がどれだけ吸収されるかを測定し、その吸収量から粉じん濃度を求める方法です。
2. 浮遊粉じんの捕集測定法には、フィルタ振動法がある。
→ 正しい
フィルタ振動法(TEOM法)は、空気中の粉じんをフィルターで捕集し、そのフィルターの質量変化を振動数の変化として連続的に測定する方法です。
3. デジタル粉じん計は、粉じんによる散乱光の波長により相対濃度を測定する。
→ 不適当
デジタル粉じん計(光散乱式粉じん計)は、粉じんによる散乱光の「強度(量)」を測定して相対濃度を求めます。
「波長」ではなく、散乱光の強さ(光量)と粉じん濃度が比例することを利用しています。
4. 建築物環境衛生管理基準に基づき、ローボリウムエアサンプラ法を用いる場合は、分粒装置を装着する必要がある。
→ 正しい
ローボリウムエアサンプラ法では、分粒装置を装着して、粒径ごとに粉じんを分けて測定します。
5. デジタル粉じん計は、経年による劣化などが生じることから定期的に較正を行う必要がある。
→ 正しい
デジタル粉じん計は経年劣化や感度変化が起こるため、定期的な較正が必要です。
ビル管理士試験で出題される環境要素の測定器まとめ
以下の測定器とその特徴を覚えておけば、だいたいの問題に対応できるはずです。
項目 | 測定器 | 特徴 |
---|---|---|
温度 | バイメタル式温度計 | 2種類の金属の膨張率の違いを利用し、温度変化で金属が曲がることで指針が動く。 |
電気抵抗式温度計 | 金属(主に白金など)の電気抵抗が温度で変化する性質を利用。 | |
熱電対温度計 | 異なる2種類の金属を接合し、温度差で生じる微小な起電力(ゼーベック効果)から温度を測定。 | |
サーミスタ温度計 | 半導体セラミックの抵抗値が温度で大きく変化する性質を利用。 | |
グローブ温度計 | 黒球(球状の黒塗りセンサー)が放射と対流の両方を受け、周囲の放射熱を含めた温度を測定。示度が安定するまでには、15~20分間を要する。 放射熱を測定するので気流の大きいところは不向き。 | |
湿度 | 電気抵抗式湿度計 | 感湿膜が吸湿・脱湿で電気抵抗値を変化させる。 |
毛髪湿度計 | 毛髪やナイロンなどの伸縮性を利用。湿度で長さが変わり、その動きで指針が動く。振動の多い場所での使用は避ける。 | |
アスマン通風乾湿計 | 乾球・湿球2本の温度計を使い、温度差から湿度を算出。周囲気流及び熱放射の影響を防ぐ構造となっている。 | |
静電容量式湿度計 | 感湿膜の吸湿・脱湿で静電容量が変化する。 | |
気流 | 熱線式風速計 | 細いワイヤの冷却速度(熱が奪われる度合い)で風速を測定。定電圧式や定温度式などがある。 |
ピトー管式 | 全圧と静圧の差(動圧)から風速を計算。(ベルヌーイの式) | |
超音波式風速計 | 超音波の伝播時間の変化で風速を測定。 | |
換気量 | トレーサーガス減衰法 | 疑似的な有害物質(トレーサーガス)を発生させ、その発生量と捕集量を測定することで、排気装置や換気装置の性能を定量的に評価する。 |
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