問題
湿り空気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 顕熱比とは、顕熱の変化量の、全熱の変化量に対する比である。 |
2. | 露点温度とは、湿り空気を冷却したとき飽和状態になる温度のことである。 |
3. | 絶対湿度とは、湿り空気中の水蒸気量の、湿り空気の全質量に対する比である。 |
4. | 相対湿度とは、ある湿り空気の水蒸気分圧の、その湿り空気と同一温度の飽和水蒸気分圧に対する比を、百分率で表したものである。 |
5. | 熱水分比とは、比エンタルピーの変化量の、絶対湿度の変化量に対する比である。 |
回答と解説動画
正解は(3)
1. 顕熱比とは、顕熱の変化量の、全熱の変化量に対する比である。
→ 正しい
顕熱比とは、空調や冷房・暖房の設計で使われる指標で、「全熱(顕熱+潜熱)」のうち、どれだけが温度変化に関わる顕熱かを示す比率です。
式:顕熱比 = 顕熱変化量 / 全熱変化量。
冷房時は0.7~0.9、暖房時は1.0が目安です。
2. 露点温度とは、湿り空気を冷却したとき飽和状態になる温度のことである。
→ 正しい
露点温度は、空気を冷却して結露が始まる温度で、相対湿度100%の状態を指します。
3. 絶対湿度とは、湿り空気中の水蒸気量の、湿り空気の全質量に対する比である。
→ 不適当
絶対湿度の定義は、「空気中に含まれる水蒸気の量」を乾いた空気1kgあたりの水蒸気の質量(kg/kg-乾き空気)で表したものです。
湿り空気には水蒸気が含まれていますが、絶対湿度を表わす場合は水蒸気の分を除いて考えるため、乾いた空気を用います。
4. 相対湿度とは、ある湿り空気の水蒸気分圧の、その湿り空気と同一温度の飽和水蒸気分圧に対する比を、百分率で表したものである。
→ 正しい
相対湿度とは、その空気中に実際に含まれている水蒸気の分圧(または量)が、その温度で含みうる最大の水蒸気分圧(飽和水蒸気分圧)に対して何パーセントであるかを示す指標です。
5. 熱水分比とは、比エンタルピーの変化量の、絶対湿度の変化量に対する比である。
→ 正しい
熱水分比は、空気中の水分が増減するときに、空気の持つ熱エネルギー(比エンタルピー)がどれだけ変化するかを示す比率です。
簡単に言うと、「水分1kgを空気に加えたり減らしたりするとき、空気のエネルギーが何kJ増減するか」を表します。
熱水分比 = 比エンタルピー変化量/絶対湿度変化量
例えば・・・
- 蒸気加湿の場合:
水蒸気を空気に加えるときは、蒸気の持つ熱(蒸発熱)がそのまま空気に加わるため、熱水分比は約2,500~2,700kJ/kg程度と大きくなります。 - 水加湿(気化加湿)の場合:
水をそのまま蒸発させるときは、空気中の熱を奪って水が蒸発するので、空気のエネルギーはほとんど増えません(熱水分比は0に近い)。
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