問題
湿り空気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 絶対湿度が一定の状態で、温度が上昇すると相対湿度は低下する。 |
2. | 相対湿度が同じ湿り空気では、温度が高い方が比エンタルピーは高い。 |
3. | 乾球温度が同じ湿り空気では、絶対湿度が高い方が水蒸気圧は高い。 |
4. | 露点温度における湿り空気では、乾球温度と湿球温度は等しい。 |
5. | 比エンタルピーが同じ湿り空気では、温度が高い方が絶対湿度は高い。 |
回答と解説動画
正解は(5)
湿り空気線図(h-x線図)は空気の状態を示す様々なパラメータを視覚的に表したグラフです。画像の湿り空気線図を見ながら説明していきます。

湿り空気線図の見方
- 横軸:乾球温度(空気の温度)
- 縦軸:絶対湿度(空気1kg中に含まれる水蒸気の量)
- 曲線:相対湿度(100%、90%、80%…と書かれている線)
- 斜めの線:湿球温度
相対湿度を求めるには、独立した2つのパラメータがあれば、図上で交点(状態点)を見つけ、その点を通る相対湿度曲線の値を読み取れます。
1.絶対湿度が一定の状態で、温度が上昇すると相対湿度は低下する。
→正しい。
例:
添付の湿り空気線図で、絶対湿度0.010kg/kg(DA)の水平線上で考えてみます。
- 乾球温度15℃のとき:相対湿度は約90%
- 同じ絶対湿度でも乾球温度25℃に上昇すると:相対湿度は約50%に低下
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2.相対湿度が同じ湿り空気では、温度が高い方が比エンタルピーは高い。
→正しい。
図には比エンタルピー線はありませんが、一般的に同じ相対湿度の曲線上で温度が高いほど空気の熱エネルギー(比エンタルピー)は高くなる。これは空気の温度が上がるほど、含む水蒸気量も増えるため。
3.乾球温度が同じ湿り空気では、絶対湿度が高い方が水蒸気圧は高い。
→正しい。
乾球温度が同じなら、絶対湿度が大きいほど空気中の水蒸気量が多くなり、それに比例して水蒸気分圧も高くなる。図では同じ縦線上で上に行くほど絶対湿度も水蒸気圧も増える。
4.露点温度における湿り空気では、乾球温度と湿球温度は等しい。
→正しい。
露点温度は空気が飽和状態(相対湿度100%)になる温度。図の100%曲線上の点では、乾球温度・湿球温度・露点温度がすべて一致する。
露点温度では空気が水蒸気で飽和しているため、湿球温度計の湿った布からの蒸発がなく、冷却効果が生じないことから乾球温度と同じ値を示します。
5.比エンタルピーが同じ湿り空気では、温度が高い方が絶対湿度は高い。
→不適当。
図には比エンタルピー線がないため直接は読めないが、一般的に比エンタルピーが一定の場合、温度が高くなると絶対湿度は逆に低下する。
これは、温度が上がるほど空気自体のエネルギー(顕熱)が増えるため、同じ比エンタルピーを保つには水蒸気量(潜熱成分)が減る必要があるから。
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