問題
体温の調節における熱産生と熱放散に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 基礎代謝とは、睡眠時のエネルギー代謝のことをいう。 |
2. | 高温環境では発汗や血流量が増加し、代謝量は上昇する。 |
3. | 熱産生量は人体の活動状況によって異なり、作業量が増せば増加する。 |
4. | 日本人の基礎代謝は夏の方が冬よりも低い。 |
5. | 低温の環境では震えによって熱産生量が増加する。 |
回答と解説動画
正解は(1)
1.基礎代謝とは、睡眠時のエネルギー代謝のことをいう
→ 不適当。
基礎代謝とは、安静に目を覚まし、空腹で横たわっている状態(覚醒安静時)における最小限のエネルギー消費量を指します。
睡眠時はさらに代謝が低下し、基礎代謝とは区別されます。ビル管理士試験では「基礎代謝」と「睡眠時代謝」の違いを正しく理解しておくことが重要です。

以下の違いをおさえておきましょう。
項目 | 測定条件・特徴 | 代表的な値の比較 |
---|---|---|
基礎代謝量 | 早朝覚醒後の空腹時仰臥(ぎょうが)姿勢における消費エネルギー ※仰臥とは仰向けのこと | 基準値(100%) |
安静時代謝量 | 座位で安静にしているときの消費エネルギー | 基礎代謝量より約10~20%高い |
睡眠時代謝量 | 睡眠中の消費エネルギー | 基礎代謝量の約94~95% |
2.高温環境では発汗や血流量が増加し、代謝量は上昇する
→ 正しい。
高温環境下では発汗や皮膚血流量が増加して熱放散が促進され、それに伴い基礎代謝もわずかに上昇します。
3.熱産生量は人体の活動状況によって異なり、作業量が増せば増加する
→ 正しい。
運動や作業量が増えると筋肉活動が活発になり、熱産生量も増加します。日常生活でも、安静時より運動時の方が体温が上がりやすいのはこのためです。
4.日本人の基礎代謝は夏の方が冬よりも低い
→ 正しい。
外気温が高い夏は体温維持のためのエネルギー消費が少なくなり、冬は寒さに対抗して基礎代謝が上がります。基礎代謝は冬の方が夏より高い傾向があります。
5.低温の環境では震えによって熱産生量が増加する
→ 正しい。
寒い環境では筋肉が不随意に収縮(震え)することで熱を生み出し、体温維持を図ります。
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