ビル管理士 2023年(R5年) 問123  過去問の解説【給水および排水の管理】

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問題

雑用水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.雑用水とは、人の飲用、その他それに準じる用途以外の用途に供される水の総称である。
2.散水、修景又は清掃の用に供する雑用水は、し尿を含む水を原水として用いない。
3.広域循環方式は、個別循環方式に比べて下水道への排水量が減少する。
4.雑用水受水槽に上水を補給する場合は、吐水口空間を設けて給水する。
5.雑用水は、災害時における非常用水の原水として利用することができる。

回答と解説動画

正解は(3)

1.雑用水とは、人の飲用、その他それに準じる用途以外の用途に供される水の総称である。
→正しい
雑用水とは、人の飲用、その他それに準じる用途以外の用途に供される水の総称で、建築物内で発生した排水の再生水の他、雨水、下水処理水、工業用水等を便所の洗浄水、水景用水、栽培用水、清掃用水等として用いる水のことです。

2.散水、修景又は清掃の用に供する雑用水は、し尿を含む水を原水として用いない。
→正しい
し尿を含む汚水を原水とする雑用水は、散水などの用途に利用することは禁止されています。なお、水洗便所に使用する場合はし尿を含んでいてもよいとされています。

雑用水の基準については令和4年問8参照

3.広域循環方式は、個別循環方式に比べて下水道への排水量が減少する。
→不適当
広域循環方式とは、下水道終末処理場で処理された再生水を、広域に供給して雑用水として再利用する方式です。
一方、個別循環方式は、建物内で発生した排水を建物内で処理して再利用する方式であり、建物外に排出される排水量を抑えることができます。
したがって、下水道への排水量が減少するのは個別循環方式であり、広域循環方式では一度下水道に排出されるため、排水量の削減にはなりません。
なお、この他に地区循環方式というものあります。全てまとめると以下の通りです。

  • 広域循環方式
    下水処理場で処理された再生水を、広範囲の地域に供給する方式
    水は一度下水道へ排水されてから再利用されるため、下水道への排水量に大きな変化はない
  • 地区循環方式
    複数の建物や地区内の排水をまとめて処理し、再生水を地区内で再利用する方式
    個別循環方式より広い範囲で排水の再利用を行う
  • 個別循環方式
    建物内で発生する排水や雨水を、その建物内で処理し再利用する方式
    排水を建物内で再利用するため、下水道への排水量を減らすことができる

4.雑用水受水槽に上水を補給する場合は、吐水口空間を設けて給水する。
→正しい
雑用水受水槽に上水を補給する場合、逆流防止のために吐水口空間を設けて給水することが必要です。
これは、万が一雑用水受水槽内の水位が上昇したときや、配管内の圧力が下がったときに、雑用水が上水側の配管へ逆流してしまうのを防ぐためです。
吐水口空間とは、上水の給水管の先端(吐水口)と、受水槽の満水面との間に十分な空間を設けることを指します。
この空間があることで、仮に受水槽が満水になっても、上水が直接雑用水に触れることがなく、逆流やサイフォン現象による混入を確実に防ぐことができます。
以下の画像は、受水槽の吐水口空間について解説するものですが、同じ理由で設けられているものです。

5.雑用水は、災害時における非常用水の原水として利用することができる。
→正しい
雑用水は、災害時の非常用水として利用することができます。

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