問題
エレベーター設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 小荷物専用昇降機設備は、荷物運搬専用の小規模リフトの総称である。 |
2. | ロープ式エレベーターは汎用性が高く、中高層、超高層建築物に多用されている。 |
3. | 非常用エレベーターの設置義務は、消防法により定められている。 |
4. | 新築の建物では、機械室なしエレベーターが普及している。 |
5. | エレベーターの安全装置には、制動装置がある。 |
回答と解説動画
正解は(3)
1.小荷物専用昇降機設備は、荷物運搬専用の小規模リフトの総称である。
→正しい
小荷物専用昇降機は、食器・書類・工具などの軽い荷物を運搬する小型リフトの総称であり、人が乗ることはできない。建築基準法では、かごの床面積が1㎡以下、天井の高さが1.2m以下のものと定義されています。

2.ロープ式エレベーターは汎用性が高く、中高層、超高層建築物に多用されている。
→正しい
今回の問題では関係無いですが、エレベーターにはロープ式と油圧式があります。
ロープ式エレベーターは、ロープと巻上機を使って かごを昇降させる方式です。
この方式は、高い建物でも安定した運転が可能で、多くの乗客や荷物を運ぶことができるため、高層ビルや商業施設などでよく採用されています。
一方、油圧式エレベーターは、電動ポンプで油を加圧し、その油圧でジャッキ(シリンダーとプランジャー)を伸縮させてかごを昇降させる方式です。油圧式は構造上、建物上部に機械室が不要で、上部に荷重をかけたくない場合や、大きな積載量が必要な場合に適しています。また、低層建物や工場・倉庫などで多く採用されています。
ただし、油圧式エレベーターは昇降行程(移動できる高さ)や速度に限界があり、ロープ式のような高速運転や長距離運転には向いていません。また、油圧ポンプの流量制御やVVVFインバータ制御によってある程度の速度調整は可能ですが、ロープ式ほど広範囲な速度制御や高効率な運転は難しいのが一般的です。
以下の画像はロープ式と油圧式の参考資料です。(出典:東芝)
色々と機器の名称が書いてありますが、ビル管試験において各部品の仕組みなど覚える必要はなく、油圧式よりロープ式のほうが汎用性が高いと理解しておけば十分だと思います。
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3.非常用エレベーターの設置義務は、消防法により定められている。
→不適当
非常用エレベーターの設置義務は、消防法ではなく、建築基準法によって定められています。具体的には、高さ31メートルを超える建築物には、非常用エレベーターの設置が義務付けられています。これは、火災時における消防隊の消火活動や救助活動を円滑に行うための措置です。
(建築基準法 第三十四条)
建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。
2 高さ三十一メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。
4.新築の建物では、機械室なしエレベーターが普及している。
→正しい
機械室が不要な「機械室レスエレベーター」は、建物設計の自由度を高めるために新築建物で広く導入されている。
5.エレベーターの安全装置には、制動装置がある。
→正しい
エレベーターの安全装置には、制動装置が含まれます。制動装置は、エレベーターが異常な速度で下降した場合や、ロープが切断した場合などに、かごの落下を防ぐための装置です。
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