ビル管理士 2022年(R4年) 問96  過去問の解説【建築物の構造概論】

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問題

鉄骨構造とその材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.鋼材の降伏比は、引張強さの降伏強さに対する割合をいう。
2.柱脚部と基礎は、支持条件により、ピン、半固定、固定等を選択して設計する。
3.スタッドボルトは、鉄骨梁(ばり)とコンクリートスラブを緊結するために使用する。
4.鉄骨構造の解体は、一般の鉄筋コンクリート構造より容易である。
5.高力ボルトの締付け長さは、接合される鋼板の板厚の総和をいう。

回答と解説動画

正解は(1)

1.鋼材の降伏比は、引張強さの降伏強さに対する割合をいう。
→ 不適当
降伏比は「降伏強さ/引張強さ」であり、記述は逆です。

降伏比は、その材料が「すぐ壊れるタイプ」か「粘り強いタイプ」かを見分ける目安です。
・降伏比が小さい材料→グニャッとよく伸びてから壊れます(粘り強い・壊れにくい)
・降伏比が大きい材料→伸びる余裕が少なく、すぐ壊れます(もろい)
たとえば、地震のときに「降伏比が小さい鋼材」は、壊れずにグニャグニャと曲がって耐えてくれるので安全です。

2.柱脚部と基礎は、支持条件により、ピン、半固定、固定等を選択して設計する。
→ 正しい
柱脚部と基礎の接合条件は、設計に応じてピン・半固定・固定などから選択されます。

  • ピン接合
     柱が基礎に「立っているだけ」のようなイメージ。
     回転は自由で、地震や風で柱が少し傾いても基礎に力が伝わりにくい。
     → 建物全体が柔らかく動きやすい。
  • 固定接合
     柱と基礎がガッチリ一体化していて、柱が傾こうとすると基礎にも大きな力が伝わる。
     → 建物全体がしっかりして変形しにくい。耐震性が高い。
  • 半固定接合
     ピンと固定の中間くらい。ある程度は回転できるが、完全には自由じゃない。
     → 柔軟性と剛性のバランスをとれる。

3.スタッドボルトは、鉄骨梁(ばり)とコンクリートスラブを緊結するために使用する。
→ 正しい
スタッドボルトは、鉄骨梁とコンクリートスラブを一体化させるために使われます。

スタッドボルト
出典:ダイヘンスタッド

4.鉄骨構造の解体は、一般の鉄筋コンクリート構造より容易である。
→ 正しい
鉄骨構造はボルトや溶接部を切断すれば分解できるため、一般に鉄筋コンクリート構造より解体が容易です。

5.高力ボルトの締付け長さは、接合される鋼板の板厚の総和をいう。
→ 正しい
鉄骨構造では、複数の鋼板(例えば梁や柱など)を重ねてボルトで締結します。このとき、ボルトで実際に締め付ける鋼板すべての厚みを合計した長さが「締付け長さ」です。(下図参照)

出典:エムオーテック

解説動画

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