ビル管理士 2022年(R4年) 問94  過去問の解説【建築物の構造概論】

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問題

建築物の荷重又は構造力学に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.基礎の構造計算をする場合の積載荷重は、床の構造計算をする場合の積載荷重より大きく設定されている。
2.家具・物品等の重量は、積載荷重に含まれる。
3.片持ち梁(ばり)のスパンの中央に集中荷重が作用する場合、その先端には曲げモーメントは生じない。
4.トラス構造の部材に生じる応力は、主に軸方向力である。
5.水平荷重には、風圧力、地震力等がある。

回答と解説動画

正解は(1)

1.基礎の構造計算をする場合の積載荷重は、床の構造計算をする場合の積載荷重より大きく設定されている。
→ 不適当
実際は逆です。床の構造計算に用いる積載荷重が最も大きく、柱や基礎の構造計算に用いる積載荷重はこれより小さく設定されています。つまり、基礎や柱の構造計算では、支える床の数に応じて積載荷重を低減することが認められています。

2.家具・物品等の重量は、積載荷重に含まれる。
→ 正しい
家具や物品などの重量は、積載荷重に含まれます。

建築物に作用する荷重
  • 水平荷重:構造物に対して横方向からかかる荷重のこと。風圧力、地震力、土圧等があります。
  • 固定荷重:構造体や仕上げ材料など建物自体の自重のこと。
  • 積載荷重:建築物の床や屋根などに載る人や家具などの可動する物の重さのこと。固定荷重には含まれない。
  • 積雪荷重:屋根に積もった雪の重さのこと。地域の垂直積雪量や屋根の形状などによって計算される。

3.片持ち梁(ばり)のスパンの中央に集中荷重が作用する場合、その先端には曲げモーメントは生じない。
→ 正しい
片持ち梁の自由端(先端)は、支点がないため曲げモーメントはゼロです。

曲げモーメントとは、部材が外力によって曲げられる際に、部材内部に発生する回転力のことです。具体的には、部材を曲げようとする力と、その力が発生する点からの距離を掛け合わせたもので、部材の変形や強度を評価する上で重要な要素となります。

4.トラス構造の部材に生じる応力は、主に軸方向力である。
→ 正しい
トラス構造の部材には主に圧縮力や引張力などの軸方向力が生じます。

鉄骨構造の分類
  • ラーメン構造
    曲げモーメント」「せん断力」「軸方向力」という三つの主要な応力が同時に部材に生じる、剛接合による四角形フレーム構造であり、設計の自由度が高いところが特徴です。
  • トラス構造
    トラス構造は、三角形の骨組みを基本単位として構成された構造で、各部材は軸方向力引張力または圧縮力)のみに抵抗することを前提としています。梁の代わりに使われることも多く、橋や大空間の屋根などに適用されます。
    部材の接合はピン接合(ヒンジ接合)が原則とされ、曲げモーメントが発生しないため、構造的に軽くて強いのが特徴です。また、部材数を抑えながら長いスパンを確保できる利点もあります。
出典:三井のリハウス
出典:国土交通省

5.水平荷重には、風圧力、地震力等がある。
→ 正しい
水平荷重には風圧力や地震力などが含まれます。

建築物に作用する荷重
  • 水平荷重:構造物に対して横方向からかかる荷重のこと。風圧力、地震力、土圧等があります。
  • 固定荷重:構造体や仕上げ材料など建物自体の自重のこと。
  • 積載荷重:建築物の床や屋根などに載る人や家具などの可動する物の重さのこと。固定荷重には含まれない。
  • 積雪荷重:屋根に積もった雪の重さのこと。地域の垂直積雪量や屋根の形状などによって計算される。

解説動画

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