問題
音・振動環境の保守管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 複数の材料を貼り合わせた内装の振動は、部位による振動モードの影響により、測定場所間で異なることがある。 |
2. | 対象となる騒音・振動を測定するには、暗騒音・暗振動が大きい時間帯に実施することが望ましい。 |
3. | 経年変化による遮音性能の低下を把握するために、建設時に壁・床・建具等の遮音性能を測定しておくことが望ましい。 |
4. | 機械室に隣接する居室の床スラブ厚が薄かったため、床振動による固体伝搬音が伝わらないよう、空調機に防振支持を施した。 |
5. | 高い遮音性能の扉であっても、日常的な開閉により、遮音性能が低下することがある。 |
回答と解説動画
正解は(2)
1. 複数の材料を貼り合わせた内装の振動は、部位による振動モードの影響により、測定場所間で異なることがある。
→正しい
複数の材料で構成される内装は、部位ごとに振動モード(固有振動数や振動の伝わり方)が異なるため、測定場所によって振動の大きさや周波数特性が異なることがあります。
例えば、壁の上部が合板、下部がコンクリートの場合、合板部分は振動が伝わりやすく、コンクリート部分は振動が伝わりにくい。
2. 対象となる騒音・振動を測定するには、暗騒音・暗振動が大きい時間帯に実施することが望ましい。
→不適当
暗騒音・暗振動とは、対象とする騒音・振動以外の背景騒音・背景振動のことです。測定精度を高めるためには、暗騒音・暗振動が小さい時間帯に行うのが適切です。
3. 経年変化による遮音性能の低下を把握するために、建設時に壁・床・建具等の遮音性能を測定しておくことが望ましい。
→正しい
建設時の遮音性能を測定しておくことで、経年変化による性能低下を把握しやすくなります。
4. 機械室に隣接する居室の床スラブ厚が薄かったため、床振動による固体伝搬音が伝わらないよう、空調機に防振支持を施した。
→正しい
床スラブが薄いと振動や固体伝搬音が伝わりやすくなるため、空調機など振動源に防振支持を施すのは適切な対策です。以下は固体伝搬音の軽減方法です。
- 構造体を重く・剛性を高くする
振動しにくい重い構造体にすることで、振動の伝播を抑える効果があります。 - 防振ゴムや防振マットを使う
振動源(洗濯機、機械、家具の脚など)と床・壁の間に防振ゴムやマットを挟むことで、振動が建物に伝わるのを抑えます。 - カーペットや防音マットを敷く
床にカーペットや厚みのある防音マットを敷くことで、足音や物を落としたときの衝撃を吸収し、振動の伝播を減らします。
5. 高い遮音性能の扉であっても、日常的な開閉により、遮音性能が低下することがある。
→正しい
扉の開閉や経年劣化により、ゴムパッキンの劣化や隙間が生じ、遮音性能が低下することがあります。
解説動画
コメント