ビル管理士 2022年(R4年) 問80  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

環境要素の測定に関する用語の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

1.温度熱電対
2.臭気オルファクトメータ法
3.熱放射シンチレーションカウンタ
4.酸素   ガルバニ電池
5.気流   サーミスタ

回答と解説動画

正解は(3)

1.温度 熱電対
→ 正しい

熱電対は、2種類の異なる金属を接合し、その接点の温度差によって発生する熱起電力を利用して温度を測定するセンサーです。工業用温度計測の代表的な方法です。

2.臭気 オルファクトメータ法
→ 正しい

オルファクトメータ法は、サンプルを希釈してパネル(人間の嗅覚)で臭気の有無を判定する臭気測定法です。

3.熱放射 シンチレーションカウンタ
→ 不適当

シンチレーションカウンタは、放射線(α線、β線、γ線など)の測定に使われる装置です。熱放射(赤外線など)を測定するものではありません。熱放射の測定にはグローブ温度計などが用いられます。

4.酸素 ガルバニ電池
→ 正しい

ガルバニ電池式の酸素センサーは酸素濃度測定に広く使われています。

5.気流 サーミスタ
→ 正しい

サーミスタは温度変化による抵抗値の変化を利用し、気流(風速)の測定にも応用されています。

測定項目と測定器一覧

項目測定器特徴
温度バイメタル式温度計2種類の金属の膨張率の違いを利用し、温度変化で金属が曲がることで指針が動く。
電気抵抗式温度計金属(主に白金など)の電気抵抗が温度で変化する性質を利用。
熱電対温度計異なる2種類の金属を接合し、温度差で生じる微小な起電力(ゼーベック効果)から温度を測定。
サーミスタ温度計半導体セラミックの抵抗値が温度で大きく変化する性質を利用。
グローブ温度計黒球(球状の黒塗りセンサー)が放射と対流の両方を受け、周囲の放射熱を含めた温度を測定。示度が安定するまでには、15~20分間を要する。
放射熱を測定するので気流の大きいところは不向き。
湿度電気抵抗式湿度計感湿膜が吸湿・脱湿で電気抵抗値を変化させる。
毛髪湿度計毛髪やナイロンなどの伸縮性を利用。湿度で長さが変わり、その動きで指針が動く。振動の多い場所での使用は避ける。
アスマン通風乾湿計乾球・湿球2本の温度計を使い、温度差から湿度を算出。周囲気流及び熱放射の影響を防ぐ構造となっている。
静電容量式湿度計感湿膜の吸湿・脱湿で静電容量が変化する。
気流熱線式風速計細いワイヤの冷却速度(熱が奪われる度合い)で風速を測定。定電圧式や定温度式などがある。
ピトー管式全圧と静圧の差(動圧)から風速を計算。(ベルヌーイの式)
超音波式風速計超音波の伝播時間の変化で風速を測定。
換気量トレーサーガス減衰法疑似的な有害物質(トレーサーガス)を発生させ、その発生量と捕集量を測定することで、排気装置や換気装置の性能を定量的に評価する。
測定項目主な測定方法・機器例
浮遊粉じん重量法、光散乱式粉じん計、位相差顕微鏡、吸光光度法、フィルタ振動法
酸素ガルバニ電池方式、ポーラログラフ方式
一酸化炭素(CO)検知管法、定電位電解法、ガスクロマトグラフ法
二酸化炭素(CO₂)検知管法、非分散型赤外線吸収法
ホルムアルデヒド検知管法、厚生労働省指定法
オゾン検知管法、紫外線吸収法、吸光光度法、化学発光法、検知管法、CT法
窒素酸化物吸光光度法、化学発光法、ザルツマン法
イオウ酸化物紫外線蛍光法、溶液導電率法
アスベスト光学顕微鏡法(位相差顕微鏡)、電子顕微鏡法、X線回析分析法
浮遊微生物培地法(ばいちほう)、ATP法、衝突法
ダニアレルゲン酵素免疫測定法(ELISA法)
花粉アレルゲン表面プラズモン共鳴法、エアロアレルゲン・イムノブロット法
ラドンシンチレーションカウンタ法
臭気3点比較式臭袋法、官能試驗法、オルファクトメータ法

解説動画

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