問題
環境要素の測定に関する用語の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
1. | 温度 | 熱電対 |
2. | 臭気 | オルファクトメータ法 |
3. | 熱放射 | シンチレーションカウンタ |
4. | 酸素 | ガルバニ電池 |
5. | 気流 | サーミスタ |
回答と解説動画
正解は(3)
1.温度 熱電対
→ 正しい
熱電対は、2種類の異なる金属を接合し、その接点の温度差によって発生する熱起電力を利用して温度を測定するセンサーです。工業用温度計測の代表的な方法です。
2.臭気 オルファクトメータ法
→ 正しい
オルファクトメータ法は、サンプルを希釈してパネル(人間の嗅覚)で臭気の有無を判定する臭気測定法です。
3.熱放射 シンチレーションカウンタ
→ 不適当
シンチレーションカウンタは、放射線(α線、β線、γ線など)の測定に使われる装置です。熱放射(赤外線など)を測定するものではありません。熱放射の測定にはグローブ温度計などが用いられます。
4.酸素 ガルバニ電池
→ 正しい
ガルバニ電池式の酸素センサーは酸素濃度測定に広く使われています。
5.気流 サーミスタ
→ 正しい
サーミスタは温度変化による抵抗値の変化を利用し、気流(風速)の測定にも応用されています。
測定項目と測定器一覧
項目 | 測定器 | 特徴 |
---|---|---|
温度 | バイメタル式温度計 | 2種類の金属の膨張率の違いを利用し、温度変化で金属が曲がることで指針が動く。 |
電気抵抗式温度計 | 金属(主に白金など)の電気抵抗が温度で変化する性質を利用。 | |
熱電対温度計 | 異なる2種類の金属を接合し、温度差で生じる微小な起電力(ゼーベック効果)から温度を測定。 | |
サーミスタ温度計 | 半導体セラミックの抵抗値が温度で大きく変化する性質を利用。 | |
グローブ温度計 | 黒球(球状の黒塗りセンサー)が放射と対流の両方を受け、周囲の放射熱を含めた温度を測定。示度が安定するまでには、15~20分間を要する。 放射熱を測定するので気流の大きいところは不向き。 | |
湿度 | 電気抵抗式湿度計 | 感湿膜が吸湿・脱湿で電気抵抗値を変化させる。 |
毛髪湿度計 | 毛髪やナイロンなどの伸縮性を利用。湿度で長さが変わり、その動きで指針が動く。振動の多い場所での使用は避ける。 | |
アスマン通風乾湿計 | 乾球・湿球2本の温度計を使い、温度差から湿度を算出。周囲気流及び熱放射の影響を防ぐ構造となっている。 | |
静電容量式湿度計 | 感湿膜の吸湿・脱湿で静電容量が変化する。 | |
気流 | 熱線式風速計 | 細いワイヤの冷却速度(熱が奪われる度合い)で風速を測定。定電圧式や定温度式などがある。 |
ピトー管式 | 全圧と静圧の差(動圧)から風速を計算。(ベルヌーイの式) | |
超音波式風速計 | 超音波の伝播時間の変化で風速を測定。 | |
換気量 | トレーサーガス減衰法 | 疑似的な有害物質(トレーサーガス)を発生させ、その発生量と捕集量を測定することで、排気装置や換気装置の性能を定量的に評価する。 |
測定項目 | 主な測定方法・機器例 |
---|---|
浮遊粉じん | 重量法、光散乱式粉じん計、位相差顕微鏡、吸光光度法、フィルタ振動法 |
酸素 | ガルバニ電池方式、ポーラログラフ方式 |
一酸化炭素(CO) | 検知管法、定電位電解法、ガスクロマトグラフ法 |
二酸化炭素(CO₂) | 検知管法、非分散型赤外線吸収法 |
ホルムアルデヒド | 検知管法、厚生労働省指定法 |
オゾン | 検知管法、紫外線吸収法、吸光光度法、化学発光法、検知管法、CT法 |
窒素酸化物 | 吸光光度法、化学発光法、ザルツマン法 |
イオウ酸化物 | 紫外線蛍光法、溶液導電率法 |
アスベスト | 光学顕微鏡法(位相差顕微鏡)、電子顕微鏡法、X線回析分析法 |
浮遊微生物 | 培地法(ばいちほう)、ATP法、衝突法 |
ダニアレルゲン | 酵素免疫測定法(ELISA法) |
花粉アレルゲン | 表面プラズモン共鳴法、エアロアレルゲン・イムノブロット法 |
ラドン | シンチレーションカウンタ法 |
臭気 | 3点比較式臭袋法、官能試驗法、オルファクトメータ法 |
解説動画
コメント