ビル管理士 2022年(R4年) 問71  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

空気調和設備に用いられる熱交換器に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.回転型全熱交換器は、仕切り板の伝熱性と透湿性により給排気間の全熱交換を行う。
2.空気-空気熱交換器は、主に外気負荷の削減に用いられる。
3.代表的な空気冷却用熱交換器としては、プレートフィン型冷却コイルがある。
4.ヒートパイプは、構造・原理が単純で、熱輸送能力の高い熱交換器である。
5.プレート式水-水熱交換器は、コンパクトで容易に分解洗浄できるという特徴がある。

回答と解説動画

正解は(1)

1.回転型全熱交換器は、仕切り板の伝熱性と透湿性により給排気間の全熱交換を行う。
→ 不適当
この説明は「静止型全熱交換器」の特徴です。
回転型全熱交換器は、吸湿性のあるエレメント(ロータ)が低速回転し、給気と排気の間で「吸湿・放湿」を繰り返すことで全熱(顕熱+潜熱)交換を行います。仕切り板の伝熱性と透湿性で熱交換を行うのは静止型全熱交換器です。

回転型全熱交換器

  • 構造・原理
    円形のローターに吸湿性を持たせ、これをゆっくり回転させて使用します。
  • 熱・湿度の移動方法
    排気側でローターが空気の熱(顕熱)と湿気(潜熱)を吸収し、回転によってその部分が給気側に移動し、蓄えた熱と湿気を新鮮外気に放出します。これを繰り返すことで全熱(顕熱+潜熱)交換が行われます。

出典:TMES

静止型全熱交換器

  • 構造・原理
    特殊加工紙の仕切り板と間隔板を交互に積層した直交流型や向流型の構造。エレメント自体は動かず、空気は仕切り板で分けられた通路を通過します。
  • 熱・湿度の移動方法
    仕切り板(紙や樹脂製など)が伝熱性・透湿性を持ち、給気と排気が仕切り板を挟んで流れることで、熱(顕熱)と水蒸気(潜熱)が移動します。

出展:西部技研

2.空気-空気熱交換器は、主に外気負荷の削減に用いられる。
→ 正しい
空気-空気熱交換器は、換気による外気負荷(外気から室内に入る熱や湿気)を減らすために使われます。

3.代表的な空気冷却用熱交換器としては、プレートフィン型冷却コイルがある。
→ 正しい
プレートフィン型冷却コイルは、空調機の冷却コイルや加熱コイルとして広く使われている代表的な空気冷却用熱交換器です。

4.ヒートパイプは、構造・原理が単純で、熱輸送能力の高い熱交換器である。
→ 正しい
ヒートパイプは、密閉管内の作動液が蒸発・凝縮を繰り返すことで、非常に効率よく熱を運ぶことができ、構造もシンプルです。

5.プレート式水-水熱交換器は、コンパクトで容易に分解洗浄できるという特徴がある。
→ 正しい
プレート式水-水熱交換器は、伝熱板の増減や分解洗浄が容易で、設置面積も小さいのが特徴です。

プレートフィン、ヒートパイプ熱交換器の特徴については令和6年問68参照

解説動画

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