ビル管理士 2022年(R4年) 問67  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

冷凍機の冷媒に関する次の記述のうち、最も不適当なものは次のうちどれか。

1.CFC(クロロフルオロカーボン)は、オゾン層破壊の問題から全面的に製造禁止とされた。
2.HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は、オゾン破壊係数(ODP)は小さいが、全廃へ向けて生産量の段階的な削減が行われている。
3.HFC(ハイドロフルオロカーボン)は、オゾン破壊係数(ODP)が1である。
4.HFC(ハイドロフルオロカーボン)は、温室効果ガスの一種に指定され、使用量に対する制限が課せられている。
5.自然冷媒のアンモニアは、地球温暖化係数(GWP)が1より小さい。

回答と解説動画

正解は(3)

冷媒熱を運ぶ役割を持つ物質で、エアコンや冷蔵庫、冷凍機などで使われます。機器内を循環し、蒸発(気化)するときに周囲から熱を奪い、凝縮(液化)するときに熱を放出する性質を利用して、冷却や加熱を行います

ODPオゾン破壊係数):ある物質が大気中に放出されたとき、成層圏のオゾン層をどれだけ壊す力があるかを示す指標です。
基準となるのは冷媒のCFC(R11)で、これを「1.0」とし、他の物質がCFC(R11)の何倍オゾン層を破壊するかを相対的な数値で表します。

GWP(地球温暖化係数):温室効果ガスが地球温暖化にどれだけ影響を与えるかを示す指標です。
二酸化炭素(CO₂)を基準(GWP=1)として、他のガスが同じ質量でどれくらい温暖化させる力があるかを「倍率」で表します。

1. CFC(クロロフルオロカーボン)は、オゾン層破壊の問題から全面的に製造禁止とされた。
→ 正しい
CFCはオゾン層破壊の原因となるため、モントリオール議定書により全世界的に製造・使用が禁止されています。

2. HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は、オゾン破壊係数(ODP)は小さいが、全廃へ向けて生産量の段階的な削減が行われている。
→ 正しい
HCFCはODPがCFCより小さいですが、段階的に生産・消費が削減され、最終的に全廃予定です。

3. HFC(ハイドロフルオロカーボン)は、オゾン破壊係数(ODP)が1である。
→ 不適当
HFCは塩素を含まないため、ODPは0です。CFCのODPが1です。HFCはオゾン層を破壊しませんが、温室効果ガスとしての規制対象です。

4. HFC(ハイドロフルオロカーボン)は、温室効果ガスの一種に指定され、使用量に対する制限が課せられている。
→ 正しい
HFCは温室効果ガスとして国際的な規制(キガリ改正など)が進んでいます。

5. 自然冷媒のアンモニアは、地球温暖化係数(GWP)が1より小さい。
→ 正しい
アンモニア(R717)はGWP=0で、地球温暖化への影響が非常に小さいです。

各種冷媒の特徴まとめ

冷媒名ODP(オゾン破壊係数)GWP(地球温暖化係数)備考・用途例
R11 (CFC)
(特定フロン)
1.0約4,600旧型冷凍機・エアコン、製造中止
R22 (HCFC)
(指定フロン)
0.055約1,700一部業務用エアコン、段階的廃止中
R123 (HCFC)
(指定フロン)
0.02約93ターボ冷凍機など、段階的廃止中
R32 (HFC)
(代替フロン)
0約675新型エアコン、GWP低め
R717 (NH₃)
(自然冷媒)
0<1アンモニア、業務用大型冷凍機
R744 (CO₂)
(自然冷媒)
01二酸化炭素、ヒートポンプ給湯器等

解説動画

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