ビル管理士 2022年(R4年) 問61  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

建築物の熱負荷に関する組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。

1.壁体からの通過熱負荷顕熱負荷
2.人体による室内発熱負荷顕熱負荷
3.ガラス窓からの通過日射熱負荷顕熱負荷と潜熱負荷
4.外気負荷顕熱負荷
5.照明による室内発熱負荷     顕熱負荷と潜熱負荷

回答と解説動画

正解は(1)

空調設計で「熱負荷」は大きく顕熱負荷潜熱負荷に分かれます。

  • 顕熱負荷:空気の温度を上げ下げするための熱。たとえば照明や人、日射などで室温が上がる場合の熱です。空気中の水分量は変わりません。
  • 潜熱負荷:空気中の水分量(湿度)を変化させるための熱。たとえば、外から湿った空気が入ってきて除湿する場合や、人体から汗や呼気で水分が放出される場合に発生します。潜熱負荷は「蒸発」や「凝縮」といった状態変化に伴う熱です。

1.壁体からの通過熱負荷 ― 顕熱負荷
→正しいです。
壁や屋根、床などの建物外皮を通して伝わる熱は、空気の温度を上げ下げするだけです。たとえば、夏に外の熱が壁を通して室内に入ると室温が上がりますが、空気中の水分量(湿度)は変わりません。

2.人体による室内発熱負荷 ― 顕熱負荷
→不適当です。
人体は、体温で空気を暖める(顕熱)だけでなく、呼気や汗で水蒸気を出す(潜熱)という両方の熱負荷を発生させます。オフィスや教室で人が多いと、室温が上がるだけでなく湿度も上がるのはこのためです。人体負荷は顕熱+潜熱、両方を考慮するのが正解です。

3.ガラス窓からの通過日射熱負荷 ― 顕熱負荷と潜熱負荷
→不適当です。
ガラス窓から入る日射は、室内の床や壁、家具に当たってそのまま熱(顕熱)として室温を上げます。日射自体が空気中の水分量を増やす(=潜熱負荷を与える)ことはありません。日射でカーペットや観葉植物の水分が蒸発する場合は潜熱負荷も生じますが、空調設計上は通常「日射=顕熱負荷」として扱います。

4.外気負荷 ― 顕熱負荷
→不適当です。
外気を取り入れるとき、外気温が室温より高い(または低い)場合は顕熱負荷、外気の湿度が室内より高い(または低い)場合は潜熱負荷が同時に発生します。たとえば、夏に湿った外気を取り入れると、温度だけでなく湿度も上がるため、外気負荷=顕熱+潜熱負荷となります。外気負荷を顕熱だけとするのは誤りです。

5.照明による室内発熱負荷 ― 顕熱負荷と潜熱負荷
→不適当です。
照明器具が発する熱は、すべて空気の温度上昇=顕熱負荷です。照明が水分を発生させることはないので、潜熱負荷にはなりません。照明で水槽の水が蒸発する場合は潜熱負荷も生じますが、空調設計では通常考慮しません。

解説動画

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