ビル管理士 2022年(R4年) 問60  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

ダクト併用ファンコイルユニット方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.ファンコイルユニットを単一ダクト方式と併用することで、個別制御性を高めたシステムである。
2.ファンコイルユニットは、熱負荷が過大となるペリメータゾーンに配置されることが多い。
3.単一ダクト方式に比べ、空調機及び主ダクトの小容量化・小型化が可能である。
4.ペリメータゾーンとインテリアゾーンにおける熱負荷特性の差異に対応可能である。
5.新鮮外気量の確保は、ファンコイルユニットで対応する。

回答と解説動画

正解は(5)

1.ファンコイルユニットを単一ダクト方式と併用することで、個別制御性を高めたシステムである。
→ 正しい
ダクト併用ファンコイルユニット方式は、ファンコイルユニットによる個別空調と、ダクトによる外気供給を組み合わせたハイブリッド方式です。各室ごとに温度調整やON/OFFができるため、個別制御性が高いのが特徴です。

出典:モノタロウ

2.ファンコイルユニットは、熱負荷が過大となるペリメータゾーンに配置されることが多い。
→ 正しい
ペリメータゾーンは、外気温の影響を受けやすく熱負荷が大きく変動します。そのため、迅速に対応できるファンコイルユニットがこのゾーンに多く設置されます。

ペリメータゾーンとは、建物の外壁や窓に面した部分、つまり外周部に位置するエリアのことです。このゾーンは日射や外気温、外光などの外部環境の影響を受けやすく、空調の負荷が大きく変動しやすい特徴があります。
また、対になる用語としてインテリアゾーンがあります。こちらは、建物の中央部や壁から離れた内側部分のことで、外気や日射など外部環境の影響を受けにくいエリアのことです

3.単一ダクト方式に比べ、空調機及び主ダクトの小容量化・小型化が可能である。
→ 正しい
ファンコイルユニットが空調負荷の大きいペリメータゾーンなどを分担するため、「空調機や主ダクト」は外気供給やインテリアゾーンの空調だけに専念できるようになるため、小容量・小型化が可能です。

4.ペリメータゾーンとインテリアゾーンにおける熱負荷特性の差異に対応可能である。
→ 正しい
ペリメータゾーンとインテリアゾーンで熱負荷が異なる場合でも、それぞれに適した空調方式(ファンコイルユニット+空調機)を組み合わせることで柔軟に対応できます。

5.新鮮外気量の確保は、ファンコイルユニットで対応する。
→ 不適当
ファンコイルユニットは室内空気の循環・冷暖房を行う装置であり、新鮮外気の導入機能はありません。新鮮外気の供給は、別途外気処理空調機(外調機)や換気専用のダクトで行う必要があります。

以下の画像は、ファンコイルユニットの資料です。空気のやり取りは換気(室内から還ってくる空気)、給気(室内へ送る空気)しか無いことがわかります。
つまり、ファンコイルユニットが出来ることは室内の温度調節だけということです。

出典:株式会社エムジー

ポイント

ペリメータゾーン

  • 建物の外壁や窓に面した部分(窓際、外壁沿い、屋根直下など)を指します。
  • 日射や外気温の影響を直接受けやすく、夏は暑く冬は寒くなりやすいのが特徴です。
  • 空調の負荷が大きく、冷暖房の効きが悪くなったり、温度ムラが生じやすい場所です。
  • 一般的に、外壁から3~5(m)程度の範囲がペリメータゾーンとされます。

インテリアゾーン

  • 建物の中央部や、外壁から離れたエリアを指します。
  • 外気や日射の影響を受けにくく、空調の効果が大きく安定しやすいのが特徴です。
  • 室温の変動が少なく、冷暖房の効率も良いエリアです。

解説動画

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