ビル管理士 2022年(R4年) 問35  過去問の解説【建築物の環境衛生】

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問題

振動に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

1.地震の震度は、気象庁の職員の体感によって測定される。
2.レイノー現象は、温度が高く代謝が上昇する夏季に起こりやすい。
3.全身振動により、胃腸の働きの抑制が見られる。
4.振動の知覚は、皮膚、内臓、関節等、全身に分布する運動神経末端受容器によりなされる。
5.地面の振動が伝わる際、建築物内床面の振動レベルは減衰により屋外地面上より低くなる。

回答と解説動画

正解は(3)

1.地震の震度は、気象庁の職員の体感によって測定される
→ 不適当
現在の震度は、計測震度計による機械的な測定値で決まります。体感による判定は過去の方法で、現在は使われていません。

2.レイノー現象は、温度が高く代謝が上昇する夏季に起こりやすい
→ 不適当
レイノー現象(白ろう病)は、寒さや冷たい刺激、ストレスが原因で起こります。夏季よりも冬季や寒冷刺激で発症しやすいです。

レイノー現象は、手持ち振動工具の長期間使用などによる局所振動が原因で発生する指の末梢循環障害です。
この現象は、手指の血行が悪くなり、寒冷時や作業後に指先が白く変色し、冷えやしびれ、痛みを伴うことが特徴です。
「白ろう病」とも呼ばれ、レイノー現象は冬期に起こりやすいことが知られています。

3.全身振動により、胃腸の働きの抑制が見られる
→ 適当
全身振動(長距離運転・重機作業など)は、胃腸の働きを抑制したり、胃下垂や消化不良などの症状を引き起こすことがあります。

4.振動の知覚は、皮膚、内臓、関節等、全身に分布する運動神経末端受容器によりなされる
→ 不適当
振動の知覚は知覚神経末端受容器によって行われます。運動神経は関係ありません。

知覚神経末端受容器は、皮膚や筋肉、臓器など、身体の様々な部位にある感覚受容器の一種のこと

5.地面の振動が伝わる際、建築物内床面の振動レベルは減衰により屋外地面上より低くなる
→ 不適当
建物は振動の周波数によっては共振し、地面よりも振動レベルが高くなる場合もあります。必ずしも減衰するとは限りません。

局所振動と全身振動まとめ

項目局所振動全身振動
原因手持ち工具(チェーンソー、削岩機)など車両運転(フォークリフト、バス)など
周波数8~1,000Hz1~90Hz(低周波)
健康影響白ろう病(指の蒼白化)、末梢神経障害、骨・関節障害など                              胃下垂、乗り物酔い、血圧上昇、腰痛、内臓機能障害、自律神経機能失調(車酔い・船酔いなど)、不快感、睡眠障害、胃腸障害、脊柱の異常など
評価方法手指への振動曝露量鉛直・水平振動の両方で測定

解説動画

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