ビル管理士 2022年(R4年) 問176  過去問の解説【ねずみ、昆虫等の防除】

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問題

殺鼠剤に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

1.粉剤は、ネズミの嗜好に合わせた毒餌作製に使用することができる。
2.殺鼠剤に対するネズミ類の抵抗性発達の原理は、昆虫とは異なる。
3.殺鼠剤を食べて死んだネズミから、ハエなどが発生することはない。
4.殺鼠剤の有効成分は選択毒性が高く、単位体重当たりのヒトに対する毒性は、ネズミに比べて低い。
5.ワルファリンは、1回の摂取によってネズミを失血死させる。

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回答と解説動画

正解は(1)

1.粉剤は、ネズミの嗜好に合わせた毒餌作製に使用することができる。
→正しい
殺鼠剤の有効成分を含む粉末は、好まれる餌(穀物・ピーナッツバターなど)に混ぜて、ネズミの嗜好に合わせた毒餌として用いることができます。

2.殺鼠剤に対するネズミ類の抵抗性発達の原理は、昆虫とは異なる。
→不適当
ネズミも昆虫も、薬剤を使い続けることで、薬が効きにくい個体が生き残って増えることで「抵抗性」が発達していきます。

3.殺鼠剤を食べて死んだネズミから、ハエなどが発生することはない。
→不適当
殺鼠剤で死んだネズミの死体からは、ハエ類などの衛生害虫が発生することがあります。このため死体の速やかな回収が重要です。

4.殺鼠剤の有効成分は選択毒性が高く、単位体重当たりのヒトに対する毒性は、ネズミに比べて低い。
→不適当
殺鼠剤の有効成分は基本的に哺乳類全般に有毒であり、選択毒性が高いわけではありません。ヒトが誤って摂取すれば、同様に中毒を起こす恐れがあります。

選択毒性とは、同じ薬剤であっても、標的生物に対しては強い毒性を持ち、非標的生物に対しては影響が出ない性質を指します。
例えば、哺乳類には効果が見られないが、昆虫には毒性が強い場合、選択毒性が高いと言えます。

5.ワルファリンは、1回の摂取によってネズミを失血死させる。
→不適当
ワルファリンは第1世代の抗凝血性殺鼠剤であり、致死量に達するには複数回の摂取が必要です。1回の摂取で即死することはなく、蓄積によって効果が現れるものです。
1回の摂取でネズミを失血死させるのは、第2世代の抗凝血性殺鼠剤であるジフェチアロールです。

殺鼠剤の種類

殺鼠剤は、抗凝血性殺鼠剤(第1、第2)、急性殺鼠剤、動物用医薬部外品の4つに分類されます。

上記のうち、「動物用医薬部外品」は農林水産省の管轄で、「抗凝血性殺鼠剤(第1、第2)、急性殺鼠剤」は防除用医薬部外品に該当し厚生労働省の管轄となります。
※動物用医薬部外品は建築物衛生法に基づく特定建築物内で使用できません

  • 第1世代ー抗凝血性殺鼠剤
    血液が凝固する時間を遅くすることで、出血死させることができる。
    効果は遅効性で、3~7日程度連続して摂取させる必要がある。
    以下のような種類があります。
    • ワルファリン(抵抗力をもつネズミ・スーパーラットが出現している)
    • フマリン
    • クマテトラリル
  • 第2世代ー抗凝血性殺鼠剤
    第1世代の殺鼠剤に抵抗をもつスーパーラット対策として開発された強力な殺鼠剤。
    効果は第1世代でと同じで、血液が凝固する時間を遅くして出血死させることだが、1回だけ摂取させれば効果が得られる点が大きな違いとなる。
    以下のような種類があります。
    • ジフェチアロール
  • 急性殺鼠剤
    急性殺鼠剤とは、ネズミが摂取してから数時間で効果が現れる。即効性が特徴で、大量発生しているネズミの駆除に有効です。
    以下のような種類があります。
    • ノルボルマイド
    • シリロシド
    • リン化亜鉛
  • 動物用医薬部外品
    ワルファリンなどに抵抗性をもったネズミにも効果がある。承認が出ていないため建築物衛生法に基づく特定建築物内で使用できず、畜舎に発生するネズミなどに使用する。
    以下のような種類があります。
    • ブロマジオロン製剤

解説動画

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