問題
昼光照明と窓に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 大気透過率が等しければ、太陽高度が高いほど直射日光による地上の水平面照度は大きくなる。 | ||
2. | 曇天の空は、白熱電球より色温度が高い。 | ||
3. | 設計用全天空照度は、快晴よりも薄曇りの方が高い。 | ||
4. | 直接昼光率は、直射日光による照度の影響を受ける。 | ||
5. | 同じ面積であれば、側窓よりも天窓の方が多く昼光を採り入れられる。 |
回答と解説動画
正解は(4)
1. 大気透過率が等しければ、太陽高度が高いほど直射日光による地上の水平面照度は大きくなる。
→ 正しい
太陽が高い位置にあるほど、光が地表に垂直に当たり、水平面照度が大きくなります。
なお、水平面照度は「法線面照度 × sin h(太陽高度)」で求めます。
2. 曇天の空は、白熱電球より色温度が高い。
→ 正しい
曇天の空はおよそ7000K前後、白熱電球は3000K程度なので、曇天の方が色温度が高いです。
3. 設計用全天空照度は、快晴よりも薄曇りの方が高い。
→ 正しい
薄曇りの方が天空光が多いため、設計用全天空照度は快晴よりも高いです。この理由は、薄曇りでは雲が太陽光を全方向に拡散し、空全体が明るくなるからです。
以下は、設計用全天空照度の各数値です。(数値の暗記までは不要ですが、大小関係は覚えたほうがいいです。)
特に明るい日(薄曇り・雲多い晴天) | 50,000(lx) |
明るい日 | 30,000(lx) |
普通の日 | 15,000(lx) |
暗い日 | 5,000(lx) |
非常に暗い日(雷雲・降雪中) | 2,000(lx) |
快晴の青空 | 10,000(lx) |
4. 直接昼光率は、直射日光による照度の影響を受ける。
→ 不適当
昼光率や直接昼光率は、直射日光を除いた天空光のみを対象としています。直射日光の影響は受けません。
5. 同じ面積であれば、側窓よりも天窓の方が多く昼光を採り入れられる。
→ 正しい
天窓は空全体から光を取り入れられるため、側窓(がわまど)より採光効率が高いです。
光と照明関連の用語まとめ
名称 | 定義 |
---|---|
全天空照度 | 屋外の開放空間で、直射日光を除いた天空全体からの光(天空光)による水平面照度。 ポイント:直射日光は含まない。単位はルクス(lx)。 |
設計用全天空照度 | 建築や照明設計で基準とする代表的な全天空照度の値。天候ごとに標準値が決められている。 |
昼光率 | 室内のある点の昼光照度(直射日光を除く)を、同時刻の屋外の全天空照度で割った比率(パーセント)。 ポイント:昼光率(%)=(室内昼光照度 ÷ 全天空照度)× 100 |
直接昼光率 | 室内のある点に入射する天空光のうち、窓から直接入る成分の昼光率。 ポイント:直射日光は含まない。 |
間接昼光率 | 室内の壁や天井などに反射して入射する天空光成分の昼光率。 ポイント:室内反射率の影響を受ける。 |
天空光 | 空全体(太陽以外の部分)から来る光。直射日光を除く自然光。 ポイント:曇りの日は天空光のみ、晴れの日は直射日光+天空光。 |
直射日光 | 太陽から直接届く光。天空光とは区別される。 ポイント:晴天時のみ存在し、照度が非常に高い。 |
グローバル照度 | 直射日光照度と天空光照度の合計。 ポイント:屋外で実際に観測される全光量。 |
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