問題
ヒトの発がんの原因に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 発がんの要因として、食事が3分の1を占める。 | ||
2. | 感染症が発がんの原因となることがある。 | ||
3. | ラドンのばく露は肺がんのリスクを上昇させる。 | ||
4. | DNAに最初に傷を付け、変異を起こさせる物質をプロモータという。 | ||
5. | ホルムアルデヒドには発がん性が認められる。 |
回答と解説動画
正解は(4)
1.発がんの要因として、食事が3分の1を占める。
→ 正しい
がんの発症には遺伝的要因だけでなく、生活習慣や環境要因が大きく関与します。
疫学調査によれば、日本人のがんの発症要因のうち「食事」は約3分の1を占めるとされ、特に高脂肪食、野菜不足、過剰な加工肉摂取、塩分の多い食事などがリスクを高めます。
逆に、バランスの良い食事や野菜・果物の摂取はリスク低減に寄与します。
2.感染症が発がんの原因となることがある。
→ 正しい
一部のウイルスや細菌は、慢性的な炎症や細胞の遺伝子異常を引き起こし、がんの発症に関与します。
たとえば、B型・C型肝炎ウイルスは肝がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がん、ヘリコバクター・ピロリ菌は胃がんのリスクを高めます。
3.ラドンのばく露は肺がんのリスクを上昇させる。
→ 正しい
ラドンは自然界に存在する放射性ガスで、特に地下室や換気の悪い建物で濃度が高くなることがあります。
ラドンの長期吸入は肺がんリスクを高めることが国際的にも認められています。
4.DNAに最初に傷を付け、変異を起こさせる物質をプロモータという。
→ 不適当
「プロモータ」とは、発がんの多段階過程のうち、すでにDNAに傷(変異)が入った細胞の増殖やがん化を促進する物質です。
DNAに最初に傷を付けて変異を起こす物質は「イニシエーター(発がん開始物質)」と呼ばれます。
つまり、イニシエータ→プロモータの順番でガンは進行していくということです。

聞き慣れない言葉ですが、今後もビル管理士試験では出題される可能性が高いので、プロモータとイニシエータの特徴は暗記しておきましょう。
5.ホルムアルデヒドには発がん性が認められる。
→ 正しい
ホルムアルデヒドは建材や接着剤、たばこ煙などに含まれる化学物質で、長期ばく露により鼻咽頭がんや白血病などのリスクが高まることが国際的に認められています。
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