問題
温熱環境指数に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 黒球温度は、熱放射と対流に関わる温度の測定に用いられる。 | ||
2. | 湿球黒球温度(WBGT)は、屋内外における暑熱作業時の暑熱ストレスを評価するために使用されている。 | ||
3. | 有効温度は、湿度100%で無風の部屋の気温に等価な環境として表す主観的経験指数である。 | ||
4. | 標準新有効温度は、気温、湿度、風速、熱放射、着衣量、代謝量の6要素を含んだ温熱環境の指標である。 | ||
5. | 不快指数は、気温に関係なく用いられる指標である。 |
回答と解説動画
正解は(5)
1.黒球温度は、熱放射と対流に関わる温度の測定に用いられる。
→正しいです。
黒球温度は、黒く塗った中空球体の中心温度を測定し、熱放射(輻射熱)と対流の影響を受ける温度として、WBGTなどの計算や熱環境評価に使われます。

2.湿球黒球温度(WBGT)は、屋内外における暑熱作業時の暑熱ストレスを評価するために使用されている。
→正しいです。
WBGT(湿球黒球温度)は、気温・湿度・放射熱(黒球温度)などを組み合わせて計算され、屋内外の熱中症リスク評価や暑熱作業管理の基準として広く用いられています。
3.有効温度は、湿度100%で無風の部屋の気温に等価な環境として表す主観的経験指数である。
→正しいです。
有効温度(ET)は、実際の気温・湿度・風速の組み合わせを、「湿度100%かつ無風の部屋の気温」に換算して表す体感温度の指標です。人の主観的な暑さ・寒さの感じ方を反映した経験的な指数です。
4.標準新有効温度は、気温、湿度、風速、熱放射、着衣量、代謝量の6要素を含んだ温熱環境の指標である。
→正しいです。
標準新有効温度(SET)は、気温・湿度・風速・熱放射・着衣量・代謝量の6要素を考慮して人の体感温度を評価する指標であり、より現実的な快適性評価が可能です。
5.不快指数は、気温に関係なく用いられる指標である。
→不適当です。
不快指数(DI)とは、蒸し暑さを数値で表した指標で、気温と湿度をもとに計算されます。気温が高いほど不快指数も高くなり、気温に強く依存します。気温に関係なく使える指標ではありません。
暗記するべき温熱環境指数の特徴一覧
指数・基準名 | 主な評価要素 | 特徴・ポイント |
---|---|---|
予測平均温冷感申告 (PMV) | 気温・湿度・風速・放射・着衣量・代謝量(6要素) | 室内の温熱環境が人にどれだけ「暑い」「寒い」と感じさせるかを、科学的に予測する指標です。 |
標準新有効温度 (SET) | 気温・湿度・風速・放射・着衣量・代謝量(6要素) | さまざまな条件下の体感温度を標準化して比較できる。 |
新有効温度 (ET) | 気温・湿度・風速・放射・着衣量・代謝量(6要素) | 標準新有効温度(SET)の基礎となる指標。 標準的な条件(湿度50%など)の部屋で感じる温度に換算して表示します。 |
有効温度 (ET) | 気温・湿度・風速(3要素) | 実際の環境を「湿度100%・無風の部屋の気温」に換算した体感温度。放射は含まない。 |
修正有効温度 (CET) | 気温・湿度・風速・放射 | 有効温度(ET)に放射を加えたもの。 |
湿球黒球温度 (WBGT) | 乾球温度・湿球温度・黒球温度 | 熱中症予防や暑熱ストレス評価の基準。屋内外の作業管理で広く使われる。 |
不快指数 (DI) | 気温・湿度(または湿球温度) | 蒸し暑さの体感指標。気温が高いほど数値も高くなる。75以上で「暑い」、80以上で「ほとんどの人が不快」。 |
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