問題
生体の恒常性(ホメオスタシス)等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 外部環境の変化に対し内部環境を一定に保つ仕組みを恒常性という。 | ||
2. | 恒常性は、主に、神経系、内分泌系、免疫系の機能によって維持されている。 | ||
3. | 外部からの刺激は、受容器で受容されて中枢に伝達され、その後、効果器に興奮が伝えられて反応が起こる。 | ||
4. | 生体に刺激が加えられると、生体内に変化が生じ、適応しようとする反応が非特異的に生じる。 | ||
5. | 加齢とともに摂取エネルギー量は低下するが、エネルギーを予備力として蓄えておく能力は増加する。 |
回答と解説動画
正解は(5)
1. 外部環境の変化に対し内部環境を一定に保つ仕組みを恒常性という。
→正しい
恒常性(ホメオスタシス)は、外部環境が変化しても、体温・血糖値・血圧・体液のバランスなど、生命維持に必要な内部環境を一定に保とうとする生体の基本的な仕組みです。
たとえば、寒い場所に行けば体温を維持するために震えたり、暑ければ発汗で体温を下げたりします。
この恒常性があるからこそ、ヒトは多様な環境下でも生きていけます。
2. 恒常性は、主に、神経系、内分泌系、免疫系の機能によって維持されている。
→正しい
それぞれ以下のような働きがあります。
- 神経系(自律神経):体温調節や血圧調整など即時的な反応
- 内分泌系(ホルモン):長期的な調節(例:血糖値のコントロール)
- 免疫系:病原体や異物から体を守る
3. 外部からの刺激は、受容器で受容されて中枢に伝達され、その後、効果器に興奮が伝えられて反応が起こる。
→正しい
たとえば、熱いものに触れると「皮膚の温度受容器」が刺激を受け、その情報が神経を通じて脳(中枢)に伝わります。
脳は「危険」と判断し、筋肉(効果器)に「手を引っ込めろ」と命令を出します。
この一連の流れが「受容器→中枢→効果器」のパターンです。
4. 生体に刺激が加えられると、生体内に変化が生じ、適応しようとする反応が非特異的に生じる。
→正しい
「非特異的反応」とは、どんな刺激(ストレス)に対しても共通して起こる生体の防御・適応反応のことです。
たとえば、ケガ・感染・精神的ストレスなど、原因が異なっても「発熱」「白血球増加」「ホルモン分泌」など共通した反応が現れます。
5. 加齢とともに摂取エネルギー量は低下するが、エネルギーを予備力として蓄えておく能力は増加する。
→不適当
加齢により、摂取エネルギー量も予備力(=回復力や臓器の余力)も低下します。
高齢者は筋肉量や基礎代謝が減り、食事量も減少します。
また、病気やストレスに対する「予備力」も衰えるため、いざという時の回復力が弱くなります。
「予備力が増加する」というのは誤りで、むしろ減少するのが正解です。
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