ビル管理士 2021年(R3年) 問158  過去問の解説【清掃】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

廃棄物処理法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.排出事業者が、産業廃棄物の処理を委託する場合、その移動及び処理の状況を自ら把握するため、特別管理産業廃棄物の制度が設けられている。
2.都道府県知事は、産業廃棄物処理業の許可申請があった場合、施設及び申請者の能力が基準に適合していることを審査し、許可する。
3.市町村は、自ら作成した一般廃棄物処理計画に従ってその処理を行う。
4.一般廃棄物の処理業者は、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物を扱う者を除き、市町村長の許可を受けなければならない。
5.市町村が一般廃棄物の収集、運搬、処分等を業者に委託する場合は、委託基準に従わなければならない。

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回答と解説動画

正解は(1)

1.排出事業者が、産業廃棄物の処理を委託する場合、その移動及び処理の状況を自ら把握するため、特別管理産業廃棄物の制度が設けられている。
→不適当
「特別管理産業廃棄物」は毒性や感染性などを有する危険な廃棄物の分類であり、「移動及び処理の状況を把握する」ために設けられた制度ではありません。特別管理産業廃棄物は、通常の産業廃棄物よりも厳格な管理と処理基準が適用されます。
産業廃棄物の委託に際し排出事業者がその処理状況を把握する制度は「マニフェスト制度(産業廃棄物管理票)」です。したがって、記述は制度の目的と名称を取り違えており誤りです。

それぞれ根拠となる条文を以下に載せておきます。どちらも重要な知識です。条文を丸暗記する必要はありませんが、仕組みは理解しておきましょう。

廃棄物処理法 第十二条(産業廃棄物管理票)
 その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票を交付しなければならない。

廃棄物処理法 第二条(特別管理産業廃棄物)
5 この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。

2.都道府県知事は、産業廃棄物処理業の許可申請があった場合、施設及び申請者の能力が基準に適合していることを審査し、許可する。
→正しい
廃棄物処理法により、都道府県知事は、処理業の許可を出す際、その事業に用いる施設や申請者の能力などが基準に適合しているか審査して許可を行うことになっています。

廃棄物処理法 第十四条
6 産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

10 都道府県知事は、第六項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
二 申請者が第五項第二号イからヘまでのいずれにも該当しないこと。

3.市町村は、自ら作成した一般廃棄物処理計画に従ってその処理を行う。
→正しい
一般廃棄物については市町村が処理責任を持ち、「一般廃棄物処理計画」に基づき、適正に処理を行うことが求められています。

廃棄物処理法 
第六条 市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画を定めなければならない。

第六条の二 
市町村は、一般廃棄物処理計画に従つて、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分しなければならない。

4.一般廃棄物の処理業者は、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物を扱う者を除き、市町村長の許可を受けなければならない。
→正しい
「専ら物」と呼ばれる古紙・くず鉄など再生利用目的の廃棄物のみを取り扱う事業者は、処理業の許可が不要ですが、それ以外は市町村長の許可が必要です。

「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」とは、古紙、くず鉄、空きびん類、古繊維の4品目を指します。
これら「専ら物」を専門に取り扱う業者のことを、専ら業者といい、通常では産業廃棄物の処理を請け負うために必要な処理業に関する許可が不要とされています。
さらに、産業廃棄物である専ら物を排出する業者についても、本来は産業廃棄物を処分する際に必要な産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付が不要とされています。

廃棄物処理法 第七条 
1 一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

6 一般廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

5.市町村が一般廃棄物の収集、運搬、処分等を業者に委託する場合は、委託基準に従わなければならない。
→正しい
市町村が業者に処理を委託する際は、委託基準に従う必要があります。

廃棄物処理法 第六条の二
2 市町村が行うべき一般廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準並びに市町村が一般廃棄物の収集、運搬又は処分を市町村以外の者に委託する場合の基準は、政令で定める。

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