問題
排水の水質に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | pH値は、汚水の処理工程において変化するため、処理の進行状況を推定する際に用いられる。 | ||
2. | (BOD/COD)比が高い排水は、生物処理法より物理化学処理法が適している。 | ||
3. | 窒素化合物は、閉鎖性水域の富栄養化の原因物質の一つである。 | ||
4. | 総アルカリ度は、硝化・脱窒反応における指標として用いられる。 | ||
5. | ヘキサン抽出物質は、比較的揮発しにくい油脂類などである。 |
回答と解説動画
正解は(2)
1.pH値は、汚水の処理工程において変化するため、処理の進行状況を推定する際に用いられる。
→正しい
pH値は酸性・アルカリ性の指標であり、処理工程の途中で変動することがあります。例えば、生物処理工程では、微生物の活動によって有機物が分解される際にpH値が変動します。
2.(BOD/COD)比が高い排水は、生物処理法より物理化学処理法が適している。
→不適当
(BOD/COD)比が高いということは、生物分解されやすい有機物の割合が多いことを意味します。
BOD(生物化学的酸素要求量)は、有機物が好気性微生物によって分解されるときに消費される酸素の量を示します。一方、COD(化学的酸素要求量)は、酸化剤で化学的に酸化される全ての有機物の量を表します。このため、BOD/COD比が高いということは、排水中の有機物のうち、生物分解が可能な成分の割合が高いことを意味します。
そのため、生物処理法(活性汚泥法など)が適しており、物理化学処理法よりも効果的です。
逆に、BOD/COD比が低い場合は、生物分解が難しい難分解性有機物が多く含まれている可能性があり、このような場合には凝集沈殿、活性炭吸着などの物理化学的処理法の方が適しています。
3.窒素化合物は、閉鎖性水域の富栄養化の原因物質の一つである。
→正しい
窒素やリンは、植物プランクトンなどの増殖を促進し、水質悪化(富栄養化)の原因になります。特に閉鎖性水域では水の循環が少ないため、影響が現れやすいです。
4.総アルカリ度は、硝化・脱窒反応における指標として用いられる。
→正しい
硝化反応では水中のアンモニアが硝酸に酸化される際にアルカリ度を消費します。そのため、総アルカリ度を測定することで、硝化・脱窒の進行状況や反応環境の安定性を評価できます。
5.ヘキサン抽出物質は、比較的揮発しにくい油脂類などである。
→正しい
ヘキサン抽出物質とは、水中に含まれる油脂類や有機性の浮遊物などのうち、n-ヘキサンという有機溶媒で抽出できる物質の総量を指します。
この物質群には、動植物油や鉱油などの「不揮発性の油分」が含まれ、水質汚濁の指標として用いられています。
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