ビル管理士 2021年(R3年) 問126  過去問の解説【給水及び排水の管理】

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問題

雨水利用設備の単位装置と点検項目の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

1.スクリーン ばっ気状況
2.降雨水集水装置 屋根面の汚れ
3.雨水貯留槽  沈殿物の有無
4.ストレーナ 網の破損状態
5.ろ過装置  ろ層の閉塞状況

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回答と解説動画

正解は(1)

雨水処理施設は、建物やその敷地に降った雨水を処理して再利用する設備です。
この水は、トイレの洗浄水や植栽への散水など、飲用以外の目的で雑用水として再利用されます。
排水処理施設のようにトイレなどの生活排水を再利用する場合と比べて、処理対象の水の汚染度が低いため、処理工程が少なめです。
排水再利用設備については令和4年問125参照

1.スクリーン  ばっ気状況
→不適当
スクリーンは雨水中のごみや大きな異物を除去する装置であり、点検項目としては目詰まりや破損の有無などが適切です。雨水処理では、生物処理を行わないため「ばっ気」は不要です。

2.降雨水集水装置  屋根面の汚れ
→正しい
降雨水集水装置は屋根などに降った雨水を集める役割があり、屋根面が汚れていると雨水に汚染物質が混入するおそれがあります。そのため、屋根面の清掃状況は重要な点検項目です。

3.雨水貯留槽  沈殿物の有無
→正しい
雨水貯留槽では、雨水中の土砂などが槽の底に沈殿するため、定期的に沈殿物の有無を点検することが求められます。放置すると貯留容量の減少や悪臭の原因になります。

4.ストレーナ  網の破損状態
→正しい
ストレーナは細かい異物をこし取るための金網などで構成されており、網の破損はろ過機能の低下や異物混入につながるため、定期的な点検が必要です。

5.ろ過装置  ろ層の閉塞状況
→正しい
ろ過装置では、砂や砂利などのろ材(ろ層)を通して水中の微細な物質を除去します。ろ層が詰まるとろ過能力が落ちるため、閉塞状況の点検は重要です。

標準的な雨水処理施設の処理フローにおいて、各単位装置の配置は以下のようになります。(仕様によって多少異なります)

  • 集水 ⇒ スクリーン ⇒ 沈砂槽 ⇒ 沈殿槽 ⇒ 雨水貯留槽 ⇒ 消毒装置 ⇒ 雑用水槽 ⇒ 給水
  1. 集水
    建物や敷地内に降った雨水を、屋根や舗装面などから雨樋や排水溝を通じて効率的に集める工程です。
  2. スクリーン
    集めた雨水に混入している落ち葉やゴミなどの比較的大きな異物を除去するための格子状の装置です
    これにより、後続の設備の目詰まりや故障を防ぎます。
  3. 沈砂槽
    雨水に含まれる砂や土砂など、比重の大きい粒子を重力で沈降させて除去する槽です
    この工程で細かい砂利や泥が取り除かれ、後工程の負荷が軽減されます。
  4. 沈殿槽(無い場合もある)
    沈砂槽で除去できなかったさらに細かい浮遊物や懸濁物質を、時間をかけて沈降させる槽です
    ここで上澄みのきれいな水と沈殿した汚泥に分離します。
  5. 雨水貯留槽
    沈殿処理された雨水を一時的に貯めておくための大型タンクや地下槽です
  6. ろ過装置(無い場合もある)
    雨水に含まれるゴミや汚れなどの不純物を、ろ過材を使用して除去します。
  7. 消毒装置
    ろ過が終わった水に塩素などで消毒処理を施し、細菌やウイルスなどの有害微生物を殺菌します
    これにより、雑用水として安全に利用できる水質が確保されます。
  8. 雑用水槽
    消毒後の雨水を再利用用途(トイレ洗浄水、散水、清掃用水など)に供給する前に一時的に貯めておく槽です。
    ここからポンプなどで各利用先に給水されます。
  9. 給水
    最終的に処理・消毒された雨水を、雑用水として建物内外のトイレ、散水、清掃などの用途へ供給します
出典:秋翔設計

解説動画

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