ビル管理士 2020年(R2年) 問74  過去問の解説【空気環境の調整】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

ダクトとその付属品に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.風量調整ダンパには、多翼型、スライド型等がある。
2.防火ダンパの温度ヒューズ溶解温度は、一般換気用、厨房排気用、排煙用で異なる。
3.長方形ダクト同士の接続には、差込み継手が一般に用いられる。
4.たわみ継手は、送風機など振動する機器とダクトを接続する場合に設けられる。
5.定風量装置には、ダクト内の圧力により機械的に自力で風量が調整される方式がある。

回答と解説動画

正解は(3)

1. 風量調整ダンパには、多翼型、スライド型等がある。
→正しい
風量調整ダンパには、多翼型、スライド型、バタフライ型など複数の種類があります。多翼型は整流効果があり、スライド型は高い密閉性が特徴です。

多翼型ダンパ
(出典:松島コントロールズ)
スライド型ダンパ
(出典:坂本)
バタフライ型ダンパ
(出典:松島コントロールズ)

2. 防火ダンパの温度ヒューズ溶解温度は、一般換気用、厨房排気用、排煙用で異なる。
→正しい
防火ダンパの温度ヒューズ溶解温度は、一般換気用72℃、厨房排気用120℃、排煙用280℃と用途によって異なります。

防火ダンパは、火災時に炎や煙の侵入を防ぎ、火災の延焼を防ぐための装置です。ダクトに設置され、温度ヒューズが溶けて自動的に閉じて火気を遮断します

3. 長方形ダクト同士の接続には、差込み継手が一般に用いられる。
→不適当
長方形(矩形)ダクト同士の接続には、アングルフランジ工法や共板フランジ工法などのフランジ接合が一般的です。差込み継手は主に丸ダクトや小型のスパイラルダクトで使われます。

長方形ダクトの接続:アングルフランジ工法や共板フランジ工法
丸ダクトや小型のスパイラルダクトの接続:差込み継手

以下の画像は差込み継手の施工手順です。

出典:(株)トーキン

4. たわみ継手は、送風機など振動する機器とダクトを接続する場合に設けられる。
→正しい
たわみ継手は、送風機など振動源となる機器とダクトの間に設けて、振動や騒音の伝播を防止します。また、熱伸縮や軸ずれの補正にも使われます。(以下の画像参照:風道が柔軟な素材で出来ており、振動などの伝搬を防ぎます)

たわみ継手(出典:空調資材.com

5. 定風量装置には、ダクト内の圧力により機械的に自力で風量が調整される方式がある。
→正しい
定風量装置には、ダクト内の圧力変動に応じて機械的に風量を自動調整するタイプがあります。電気的な制御を使わず、バネや重りなどで自力調整する方式です。

下の画像はバネ式の定風量装置です。風圧が強くなってくると、バネが押されて風の通り道が狭くなっていきます。

定風量バルブ
出典:アズビル

定風量装置:常に一定の風量を確保するための装置。制御方法には、バネなどを利用した機械的なものと、センサーを利用した電気的なものがある。

解説動画

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