問題
蓄熱槽を用いた蓄熱システムに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | 負荷の大きな変動に対応できる。 |
2. | 熱源機器の容量が大きくなる。 |
3. | 開放式の水槽の場合、より大きなポンプ能力が必要となる。 |
4. | 熱源を定格で運転できる。 |
5. | 氷蓄熱では冷凍機の効率が低下する。 |
回答と解説動画
正解は(2)
1. 負荷の大きな変動に対応できる。
→ 正しい
蓄熱槽に熱を蓄えておくことで、昼間の負荷変動やピーク負荷にも柔軟に対応できます。
2. 熱源機器の容量が大きくなる。
→ 不適当
蓄熱槽を設けることで、熱源機器の容量はむしろ小さくできます。夜間の低負荷時に熱を蓄え、昼間のピーク時には蓄熱分でまかなうため、ピーク負荷に合わせて熱源機器を大きくする必要がありません
3. 開放式の水槽の場合、より大きなポンプ能力が必要となる。
→ 正しい
開放式水槽では、空気との接触や水位差の影響で、密閉式よりも大きなポンプ能力が必要になることがあります。
4. 熱源を定格で運転できる。
→ 正しい
蓄熱システムでは、熱源機器を夜間の一定負荷で高効率運転できるため、定格運転が可能です。
5. 氷蓄熱では冷凍機の効率が低下する。
→ 正しい
氷蓄熱は冷媒の蒸発温度が低くなるため、冷凍機の効率(COP)は通常の冷水蓄熱より2~3割低下します。
蓄熱層とは
仕組みと目的
- 夜間の安い電力を利用して、冷水や温水を蓄熱槽に蓄えておき、昼間のピーク時にその熱を使うことで、電力負荷の平準化や熱源設備の小型化、省エネルギー化を図ります。
- 熱源設備と空調機の間に設置され、熱の生産と消費のタイミングをずらすことができます。
主な種類
- 密閉式蓄熱槽
タンクが密閉されており、外気と遮断。水質が保たれやすく、ポンプ動力も少なくて済みます。 - 開放式蓄熱槽
プールのように上部が開いていて空気と接する。大規模な施設で使われることが多いが、水質管理や大きなポンプ能力が必要です。
方式の例
- 水蓄熱槽:水そのものを冷やしたり温めたりして蓄熱する。
- 氷蓄熱槽:水を氷にして潜熱を蓄える。より小型で大容量の蓄熱が可能だが、冷凍機の効率はやや下がる。
- 躯体蓄熱:建物のコンクリートスラブや梁などの構造体(躯体)自体を蓄熱体として利用する。熱損失が大きい。
メリット
- 夜間電力の活用でランニングコストを削減できる。
- 熱源設備の容量を小さくできる(ピークカット)。
- 災害時の非常用水や消火用水としても利用できる。
解説動画
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