ビル管理士 2020年(R2年) 問63  過去問の解説【空気環境の調整】

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問題

地域冷暖房システムに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.一定地域内の建築物に対して、熱源プラントで製造した熱媒を供給する方式である。
2.欧米では熱供給が中心である。
3.大気汚染防止などの公害防止対策となる。
4.個別の建築物の機械室スペースが大きくなる。
5.熱源装置の大型化・集約化・集中管理化により、安全性や効率性は向上する。

回答と解説動画

正解は(4)

地域冷暖房システムとは、一定地域内の複数の建物に対して、専用の熱源プラント(地域冷暖房プラント)で作った冷水・温水・蒸気などの熱エネルギーを、配管(地域導管)を通じて供給し、各建物で冷房・暖房・給湯などに利用するしくみです。

ヘタ・レイ

下記画像を使って説明すると、中央の地下にあるプラント内には大型の冷凍機やボイラーが設置されており、ここで作られた熱源(蒸気・温水・冷水等)をオフィスビルの地上階(図中のプラントが入っているビル)や、地下配管で繋がった周辺の建築物(図では住居ビル、商業ビル、ホテル病院)で利用しています。

出典:日本熱供給事業協会

1.一定地域内の建築物に対して、熱源プラントで製造した熱媒を供給する方式である。
→正しい
地域冷暖房(地域熱供給)システムは、一定地域内の建物に対して、集中管理された熱源プラントから冷温水や蒸気などの熱媒を供給する仕組みです。個別建物で熱源を持たずに済むため、管理が効率的になります。

2.欧米では熱供給が中心である。
→正しい
欧米では、主に「地域暖房」の形で発展しており、冷房よりも暖房(蒸気や温水など)の供給が中心です。寒冷地が多い欧州諸国(アイスランド、フィンランド、デンマーク、ロシアなど)では、地域暖房の普及率も高いです。

3.大気汚染防止などの公害防止対策となる。
→正しい
熱源を一か所に集約することで、排ガス処理などの公害対策を集中的に行うことができ、個別設備よりも環境負荷が少なくなります。大気汚染防止や省エネルギーの面でも有利です。

4.個別の建築物の機械室スペースが大きくなる。
→不適当
地域冷暖房システムを導入すると、熱源機器(ボイラーや冷凍機など)を建物内に設置する必要がなくなるため、熱供給を受けている建築物の機械室は小さくて済む、あるいは不要になります。

5.熱源装置の大型化・集約化・集中管理化により、安全性や効率性は向上する。
→正しい
熱源を大規模に一括で管理することにより、熱源設備の高効率化や運転管理の合理化が可能になります。信頼性・安全性の確保もしやすくなります。

解説動画

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