問題
流体に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. | ダクト内気流の静圧と動圧の和を全圧として扱う。 |
2. | ダクト内における連続の式は、流体の密度、流速、断面積の積が一定となることを意味する。 |
3. | 開口部の流量係数は、通常の窓では1.2である。 |
4. | 摩擦抵抗係数は、ダクト内粗度の他、ダクト内気流のレイノルズ数によって変化する。 |
5. | 管内流れでは、レイノルズ数が4,000程度以上で乱流になる。 |
回答と解説動画
正解は(3)
1.ダクト内気流の静圧と動圧の和を全圧として扱う。
→ 正しい
ダクト内を流れる空気の「全圧」は、「静圧」と「動圧」を足したものです。
静圧は「ダクトの中の空気が、壁や障害物を押す力」、動圧は「空気の流れの速さによる圧力」、全圧はこの2つの合計です。
2.ダクト内における連続の式は、流体の密度、流速、断面積の積が一定となることを意味する。
→ 正しい
連続の式とは、流体が途中で消えたり増えたりしない(質量保存)という法則です。たとえばホースの途中を細くすると水の流れが速くなるのもこの原理です。数式で表すと「密度×流速×断面積=一定」となります。
3.開口部の流量係数は、通常の窓では1.2である。
→ 不適当
通常の窓の流量係数は0.6~0.7程度です。1.0に近いのは、ベルマウス形状(なめらかに絞られた開口部)の場合で、普通の窓や扉には当てはまりません。

4.摩擦抵抗係数は、ダクト内粗度の他、ダクト内気流のレイノルズ数によって変化する。
→ 正しい
ダクトや配管の内面がザラザラしているほど流れにくくなり、摩擦抵抗が大きくなります。また、流れの速さや状態(層流か乱流か)を示すレイノルズ数によっても摩擦抵抗係数は変わります。
5.管内流れでは、レイノルズ数が4,000程度以上で乱流になる。
→ 正しい
レイノルズ数は流れの「乱れやすさ」を示す指標です。管内の流れは、レイノルズ数が2,000以下なら層流、4,000以上なら乱流になります。2,000~4,000の間は遷移領域です。
- レイノルズ数が小さいとき(おおよそ2000未満)を 層流(そうりゅう)と呼び、流体は層をなして滑らかに流れています。粘性力が支配的な流れ。
- レイノルズ数が大きいとき(おおよそ4000以上)を 乱流(らんりゅう)と呼び、流体には渦や乱れが生じています。慣性力が支配的な流れ。
- 2000~4000の間→ 層流と乱流の中間的な状態(遷移領域)。
解説動画
コメント