ビル管理士 2020年(R2年) 問40  過去問の解説【建築物の環境衛生】

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問題

ヒトの水の収支や欠乏に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.成人の場合、定常状態では、水の損失は1日2,500mLである。
2.成人の場合、定常状態では、呼吸により失う水分量は水の損失全体の約1/6である。
3.水分欠乏が、体重に対して1%を超えると喉の渇きが生じる。
4.水分欠乏が、体重に対して5%を超えると筋肉のけいれんが起きる。
5.水分欠乏が、体重に対して20%を超えると死亡する。

回答と解説動画

正解は(4)

1. 成人の場合、定常状態では、水の損失は1日2,500mLである。
→正しいです。
成人が安静に過ごしているとき、1日に体外へ排出される水分の合計は約2,500mLです。
この内訳は、尿が約1,000~1,500mL、不感蒸泄(皮膚・呼気)が約900mL、便が約100~200mL。
発汗や運動、気温の影響で変動しますが、通常はこのくらいが目安です。

2. 成人の場合、定常状態では、呼吸により失う水分量は水の損失全体の約1/6である。
→正しいです。
呼吸によって失われる水分は、1日約400mL程度。
これは全体の約1/6に当たります。
呼吸による水分損失は、気温や湿度、活動量によって増減しますが、安静時はこの割合が標準です。

3. 水分欠乏が、体重に対して1%を超えると喉の渇きが生じる。
→正しいです。
体重の1%の水分が失われると、脳の視床下部にある口渇中枢が刺激され、「喉の渇き」を感じます。
たとえば体重70kgの人なら、700mLの水分が失われると喉が渇き始めます。
1~2%の水分欠乏で、運動能力の低下や集中力の低下も起こりやすくなります。

4. 水分欠乏が、体重に対して5%を超えると筋肉のけいれんが起きる。
不適当です。
体重の5%の水分が失われると、強い喉の渇き、疲労感、頭痛、めまい、吐き気、体温上昇などの症状が現れます。
しかし、筋肉のけいれんは、通常10%程度の水分欠乏で現れる重度の脱水症状です。

5. 水分欠乏が、体重に対して20%を超えると死亡する。
→正しいです。
体重の20%の水分が失われると、血液循環や臓器の働きが維持できなくなり、多くの場合死に至ります。
体重の10%を超えるとすでに重篤な状態ですが、20%を超えると生存は極めて困難です。

水分欠乏率主な症状・影響
1%のどの渇き
2%強い渇き、ぼんやりする、重苦しい、食欲減退、血液濃縮
4%動きのにぶり、皮膚の紅潮、いらいら、疲労、嗜眠、吐気、感情不安定
6%手足の震え、熱性抑うつ症昏迷、頭痛、体温上昇、脈拍・呼吸数増加
8%呼吸困難、めまい、チアノーゼ、言語不明瞭、精神錯乱
10~12%筋けいれん、平衡機能失調、失神、舌の腫張、循環不全、腎機能不全
15~17%皮膚がしなびる、飲み込み困難、目の前が暗くなる、目がくぼむ、排尿痛、聴力損失、皮膚感覚鈍化、舌のしびれ、眼瞼硬直
18%皮膚のひび割れ、尿生成の停止
20%死亡

解説動画

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