問題
電離放射線に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
1. | γ線は、鉛、鉄の板を通過する。 |
2. | 放射線の人体に与える影響の単位は、Bq(ベクレル)である。 |
3. | 放射線の健康影響のうち、がんに対する影響には閾値(いきち)が存在する。 |
4. | 胸のX線検査1回で被曝(ひばく)する線量は、自然放射線からの年間被曝量の世界平均よりも多い。 |
5. | 感受性が最も高い細胞は、リンパ球である。 |
回答と解説動画
正解は(5)
1.γ線は、鉛、鉄の板を通過する。
→ 不適当
γ線は強い透過力を持ちますが、鉛や鉄の厚い板で遮蔽することができます。
放射線の種類 | 分類 | 遮蔽材 | 特徴 |
---|---|---|---|
α線 (アルファ線) | 粒子線 | 紙1枚や薄いプラスチック、空気数cm | 透過力が非常に弱く、皮膚表面も通過できない |
β線 (ベータ線) | 粒子線 | アルミニウム板やアクリル板(1~2mm程度) | α線より透過力は強いが、厚い金属や鉛板は不要 |
γ線・X線 (ガンマ線・X線) | 電磁波 | 鉛板や鉄板などの重くて密度の高い材料 | 重い金属で遮蔽が必要 |
2.放射線の人体に与える影響の単位は、Bq(ベクレル)である。
→ 不適当
ベクレル(Bq)は放射能(放射性物質の壊変数)の単位であり、人体への影響(被ばく線量)はシーベルト(Sv)で表します。
3.放射線の健康影響のうち、がんに対する影響には閾値(いきち)が存在する。
→ 不適当
がんなどの確率的影響にはしきい値(閾値)はなく、どんなに少量でもリスクがあるとされています。
確定的影響(閾値あり) | 確率的影響(閾値なし) |
---|---|
脱毛 不妊 皮膚潰瘍 白内障 皮膚障害 | がん(悪性腫瘍) 白血病 遺伝子異常/遺伝的影響 染色体異常 |
4.胸のX線検査1回で被曝する線量は、自然放射線からの年間被曝量の世界平均よりも多い。
→ 不適当
胸部X線検査1回の被ばく線量は0.02~0.06ミリシーベルト程度で、自然放射線の世界平均年間被ばく量(約2.4ミリシーベルト)よりもはるかに少ないです。
5.感受性が最も高い細胞は、リンパ球である。
→ 正しい
放射線感受性が最も高いのはリンパ球です。リンパ球は分裂能が高く、放射線による障害を受けやすい細胞として知られています。
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