ビル管理士 2020年(R2年) 問172  過去問の解説【ねずみ、昆虫等の防除】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

問題

薬剤やその効力に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

1.イカリジンは、ゴキブリ類に対する致死効力が高い。
2.ジクロルボスを有効成分とする樹脂蒸散剤がある。
3.LD50値は、50%致死濃度を表している。
4.有機リン剤の処理によってノックダウンした個体は、蘇生する傾向が強い。
5.昆虫成長制御剤(IGR)に対する抵抗性を獲得した衛生害虫は、知られていない。

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回答と解説動画

正解は(2)

本問は殺虫剤の種類や特徴に関する知識が無いと解けません。詳しくは以下の記事を確認してください。

殺虫剤の知識についてまとめました

1.イカリジンは、ゴキブリ類に対する致死効力が高い。
→不適当
イカリジンは、蚊・ブユ・マダニなどに対する忌避剤(虫よけ)であり、殺虫効果(致死効力)はないため、ゴキブリの駆除には不向きです。

2.ジクロルボスを有効成分とする樹脂蒸散剤がある。
→正しい
ジクロルボスは揮発性の有機リン系殺虫剤で、樹脂中に混ぜてゆっくりと蒸散させる「樹脂蒸散剤」として使用されます。浄化槽など密閉された空間に発生した昆虫(成虫)の駆除に有効です。

3.LD50値は、50%致死濃度を表している。
→不適当
LD50とは「50%致死量(Lethal Dose 50%)」のことで、ある物質を投与された個体群の50%が死亡する用量を示します。「50%致死濃度」はLC50のことです。

この他にも薬剤の有効性を表す指標がありますので一緒に覚えておきましょう。

LD50LD50(Lethal Dose 50)とは、半数致死量のことであり、殺虫剤などの急性毒性の強さを示す指標です。一定量の薬剤を昆虫などの生物集団に投与したときに、その50%を致死させるために必要な1匹体あたりの薬剤量を意味します。
LC50LC50(Lethal Concentration 50)とは、ある薬剤が空気中または水中に存在する場合に、その環境に一定時間曝露された試験生物のうち、50%が死亡する濃度を示す毒性指標です。主に水生生物や昆虫の幼虫などに対して用いられます。
KT50KT50(Knockdown Time 50)とは、殺虫剤の作用により昆虫などの対象生物の50%が「行動不能(ノックダウン)」になるまでにかかる時間を示す指標です。値が小さいほど速効性があるといえる。
IC50IC50(Inhibitory Concentration 50)とは、ある薬剤により昆虫の羽化を50%阻害する濃度を指します。つまり、この濃度では、対象となる昆虫の半数が羽化できなくなるということです。値が小さいほど効果が強い事を意味します。

4.有機リン剤の処理によってノックダウンした個体は、蘇生する傾向が強い。
→不適当
有機リン剤は致死性が高く、ノックダウン=死亡につながるケースが多いです。蘇生する傾向が強いのはピレスロイド剤のほうです。

5.昆虫成長制御剤(IGR)に対する抵抗性を獲得した衛生害虫は、知られていない。
→不適当
IGRに対する抵抗性は既に報告されています。

昆虫成長制御剤(IGR剤)とは、昆虫の成長や発育を制御する薬剤のことで、昆虫の脱皮や変態を阻害することで、殺虫効果を発揮させます。従来の神経系に作用する殺虫剤とは異なり、昆虫特有の生理的な働きに作用するため、人畜への影響が少ないのが特徴です。

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