ビル管理士 2020年(R2年) 問119  過去問の解説【給水及び排水の管理】

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問題

給湯設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.強制循環方式において湯を均等に循環させるため、リバースリターン方式とする。
2.密閉式膨張水槽を設ける場合は、逃し弁を設ける。
3.給湯循環ポンプの循環流量は、循環配管系などからの熱損失及び加熱装置における給湯温度と返湯温度の温度差より算定する。
4.加熱装置から逃し管(膨張管)を立ち上げる場合は、補給水槽の水面よりも高く立ち上げる。
5.給湯循環ポンプは、背圧に耐えることのできるものを選定する。

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回答と解説動画

正解は(1)

1.強制循環方式において湯を均等に循環させるため、リバースリターン方式とする。
→不適当
リバースリターン方式とは、どの循環経路でも往き管と返り管の合計距離が等しくなるように設計された循環配管方式です。冷温水配管のように往き・返り両方の管径が同じ場合、各経路の流量を均等に保てるため理想的です。しかし、給湯配管では事情が異なります
給湯配管では、お湯を使うための往き管(給湯管)は流量が多いため太く循環のためだけに戻ってくる返り管(返湯管)は流量が少ないため細くなっています。これは、給湯管には複数の蛇口に供給される大量のお湯が流れるのに対し、返湯管には「使われなかったお湯」が少量しか戻ってこないためです。
このように管径が異なると、仮に配管長さが同じでも、太い管が長くなる経路は流れやすく、細い管が長くなる経路は流れにくいという差が生じます。その結果、循環に偏りが生まれ、湯温のムラや使い勝手の悪さが発生します。
したがって、給湯設備ではリバースリターン方式はあまり採用されず、バランスをとるため定流量弁などが用いられることが多いのです。

出典:栗田工業

2.密閉式膨張水槽を設ける場合は、逃し弁を設ける。
→正しい
密閉式膨張水槽を設置する場合、逃し弁を設ける必要があります。これは、槽内の圧力が上昇し、設定圧力を超えた場合に、圧力を逃がして機器の破損を防ぐためです。逃し弁は、設定圧力で自動的に開弁し、過剰な圧力を排出します。

3.給湯循環ポンプの循環流量は、循環配管系などからの熱損失及び加熱装置における給湯温度と返湯温度の温度差より算定する。
→正しい
給湯循環ポンプの循環流量は、配管系からの熱損失と給湯温度・返湯温度の温度差から算定します。

給湯循環ポンプの循環流量については令和5年問120を見るとわかりやすいかも

4.加熱装置から逃し管(膨張管)を立ち上げる場合は、補給水槽の水面よりも高く立ち上げる。
→正しい
逃し管(逃がし管)は、加熱装置内の圧力が異常上昇した場合に、安全に蒸気や熱水を排出するための配管です。
この逃し管の先端が高置水槽の水面よりも低い位置にあると、水槽の圧力(水頭)によって、逃し管から常時お湯が流れ出してしまうおそれがあります。そのため、逃し管は高置水槽の水面よりも高い位置に立ち上げることで、通常運転時には排水されないようにし、本当に圧力が異常に高くなったときだけ作動するようにするのが原則です。

5.給湯循環ポンプは、背圧に耐えることのできるものを選定する。
→正しい
給湯循環ポンプは、配管系統の背圧(吸込み側の圧力)に耐えられるものを選定する必要があります。

解説動画

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