問題
建築物の消防用設備に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
1. | 煙感知器は、熱感知器に比べ火災の検知が早く、アトリウムや大型ドームのような大空間での火災感知に適している。 | ||
2. | 差動式熱感知器は、定められた温度を一定時間以上超え続けた場合に作動する。 | ||
3. | 小規模社会福祉施設では、上水道の給水管に連結したスプリンクラ設備の使用が認められている。 | ||
4. | ハロゲン化物消火設備は、負触媒作用による優れた消火効果があり、コンピュータルーム、図書館など水損被害が懸念される用途の空間で普及している。 | ||
5. | 排煙設備は、消防法施行令に定めるところの消防の用に供する設備に含まれる。 |
回答
正解は(3)
1.煙感知器は、熱感知器に比べ火災の検知が早く、アトリウムや大型ドームのような大空間での火災感知に適している。
→不適当
大空間では煙が拡散して到達が遅れるため、煙感知器は適していません。大空間の施設に適しているのは炎感知器です。
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出典:能美防災
2.差動式熱感知器は、定められた温度を一定時間以上超え続けた場合に作動する。
→不適当
差動式熱感知器は温度の上昇速度を感知して作動する方式で、一定温度での持続時間とは関係ありません。
以下は感知器の種類と特徴です。
熱 感 知 器 | 差動式 | 周辺温度上昇率が一定以上になったとき作動する。 |
定温式 | 周辺温度が定められた一定温度以上になると作動する。 | |
煙 感 知 器 | 光電式 | 煙による光の散乱又は減衰を検出して作動する。 |
イオン式 | 煙によるイオン電流の変化を検出して作動する。 | |
炎感知器 | 火災時の炎から放射される紫外線や赤外線の強度が一定以上になると作動する。 |
3.小規模社会福祉施設では、上水道の給水管に連結したスプリンクラ設備の使用が認められている。
→正しい
水道連結型スプリンクラー設備(上水道の給水管に連結したスプリンクラ設備)とは、上水道を水源とし、特定施設に設置されるスプリンクラー設備の一種です。
小規模な社会福祉施設などで、一定の条件を満たせば設置が認められます。
4.ハロゲン化物消火設備は、負触媒作用による優れた消火効果があり、コンピュータルーム、図書館など水損被害が懸念される用途の空間で普及している。
→不適当
ハロゲン化物消火設備は、水を使った消火が適さない通信機器室や図書館ような場所に適した消火設備です。負触媒作用(化学反応の進行を遅くする作用)により消火効果が高いですが、。オゾン層破壊の問題から、現在では使用が減少しているため、問題文にあるように「普及している」という表現は誤りです。
5.排煙設備は、消防法施行令に定めるところの消防の用に供する設備に含まれる。
→不適当
消防用設備は「消防の用に供する設備」、「消防用水」、「消火活動上必要な施設」に分類されており、排煙設備は「消火活動上必要な施設」の中に含まれています。
それぞれの設備ごとの内訳は以下のようになっていますが、全て暗記するのは大変なので「消防の用に供する設備」はその施設にいる人が使うもの、「消防用水」は施設の近隣にいる人が使うもの、「消火活動上必要な施設」は消防士が使うものと覚えると効率が良いかもしれません。
(この分野は令和7年か令和8年あたりで出題されそうな気がします)
消防の用に供する設備 | |||
消火設備 | ①消火器、簡易消火用具(水バケツ・水槽・乾燥砂) ②屋内消火栓設備 ③スプリンクラー設備 ④水噴霧消火設備 ⑤泡消火設備 ⑥不活性ガス消火設備 ⑦ハロゲン化物消火設備 ⑧粉末消火設備 ⑨屋外消火栓設備 ⑩動力消防ポンプ設備 | ||
警報設備 | ①自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備 ②漏電火災警報器 ③消防機関へ通報する火災報知設備 ④非常警報器具(警鐘・携帯用拡声器・手動式サイレンなど) ⑤非常警報設備(非常ベル・自動式サイレン・放送設備) | ||
避難設備 | ①避難器具(すべり台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋など) ②誘導灯、誘導標識 |
消防用水 |
防火水槽またはそれに代わる貯水池その他の用水 |
消火活動上必要な施設 |
①排煙設備 ②連結散水設備 ③連結送水管 ④非常コンセント設備 ⑤無線通信補助設備 |
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