製造所及びその他の施設に共通する技術基準【危険物乙4テキスト】
製造所等の危険物を扱う施設は災害が発生した場合に近隣の建造物へ与える影響が大きいため、建物の構造や設備に一定の基準が設けられています。
ここでは製造所及び、危険物を取扱う建築物に共通して求められる構造や設備の技術基準について解説します。
ヘタ・レイ
製造所等の分類について学習が済んでいない方は、先に以下の記事を確認してください。
【関連記事】製造所等の区分について
製造所に求められる技術基準
まずは製造所に必要な技術基準です。
- 保安距離:必要
- 保有空地:必要(指定数量10倍以下で3m以上、指定数量10倍超えで5m以上)
- 指定数量の倍数が10以上の製造所は避雷設備を設ける。
- 見やすい箇所に製造所である旨を表示した標識及び防火に関し必要な事項を掲示した掲示板を設ける。
- 電気設備が点火源となり爆発する可能性が場合は、当該電気設備を防爆構造にする。
保安距離と保有空地の学習が済んでいない方は、以下の記事で確認してください。
危険物を取扱う建築物に共通する技術基準
次に危険物を取扱う建築物に共通する技術基準を構造、設備、配管に分けて紹介します。
構造に関する技術基準
構造に関する技術基準には以下のようなものがあります。
- 危険物を取扱う建築物は、地階を有しないものであること。(地階とは、床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの1/3以上のものをいう。)
- 危険物を取扱う建築物は、壁、柱、床、はり及び階段を不燃材料で造る。なお、延焼のおそれのある外壁は、出入口以外の開口部を有しない耐火構造の壁とする。
- 危険物を取扱う建築物は、屋根を不燃材料で造るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふく。
- 危険物を取扱う建築物の窓及び出入口には、防火設備を設けるとともに、延焼のおそれのある外壁に設ける出入口には、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設ける。
- 危険物を取扱う建築物の窓又は出入口にガラスを用いる場合は、網入ガラスとする。
- 液状の危険物を取り扱う建築物の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適当な傾斜を付け、かつ、漏れた危険物を一時的に貯留する設備(貯留設備)を設ける。
設備に関する技術基準
設備に関する技術基準には以下のようなものがあります。
- 危険物を取扱う建築物は、危険物を取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。また、可燃性の蒸気又は可燃性の微粉が滞留するおそれのある建築物には、その蒸気又は微粉を屋外の高所に排出する設備を設ける。
- 危険物を取扱う機械器具その他の設備は、危険物のもれ、あふれ又は飛散を防止することができる構造とする。(当該設備に危険物のもれ、あふれ又は飛散による災害を防止するための附帯設備を設けたときは、この限りでない。)
- 危険物を加熱し、若しくは冷却する設備又は危険物の取扱に伴つて温度の変化が起る設備には、温度測定装置を設ける。
- 危険物を加熱し、又は乾燥する設備は、直火を用いない構造とする。(当該設備が防火上安全な場所に設けられているとき、又は当該設備に火災を防止するための附帯設備を設けたときは、この限りでない。)
- 危険物を加圧する設備又はその取り扱う危険物の圧力が上昇するおそれのある設備には、圧力計及び総務省令で定める安全装置を設ける。
- 電気設備は、電気工作物に係る法令の規定による。
- 静電気が発生するおそれのある設備には、当該設備に蓄積される静電気を有効に除去する装置を設ける。
- 電動機及び危険物を取り扱う設備のポンプ、弁、接手等は、火災の予防上支障のない位置に取り付ける。
- 屋外に設けた液状の危険物を取り扱う設備には、その直下の地盤面の周囲に高さ0.15m以上の囲いを設け、又は危険物の流出防止にこれと同等以上の効果がある措置を講ずるとともに、当該地盤面は、コンクリートその他危険物が浸透しない材料で覆い、かつ、適当な傾斜及び貯留設備を設ける。
配管に関する技術基準
配管に関する技術基準には以下のようなものがあります。
- 設置される条件及び使用される状況に照らして十分な強度を有するものにするとともに、当該配管に係る最大常用圧力の1.5倍以上の圧力で水圧試験を行つたとき漏えいその他の異常がないものにする。
- 取り扱う危険物により容易に劣化するおそれのないものにする。
- 火災等による熱によつて容易に変形するおそれのないものにする。(当該配管が地下その他の火災等による熱により悪影響を受けるおそれのない場所に設置される場合にあつては、この限りでない。)
- 外面の腐食を防止するための措置を講ずる。(当該配管が設置される条件の下で腐食するおそれのないものである場合にあつては、この限りでない。)
- 配管を地下に設置する場合は、配管の接合部分について当該接合部分からの危険物の漏えいを点検することができる措置を講ずるとともに、地盤にかかる重量が配管にかからないように保護する。
- 配管を地上に設置する場合は、地震、風圧、地盤沈下、温度変化による伸縮から保護するため、鉄筋コンクリート造等の支持物によって支える。
- 加熱又は保温のための設備を設ける場合には、火災予防上安全な構造とする。
ヘタ・レイ
構造・設備・配管とボリュームが多いですが、「取り扱う危険物により容易に劣化するおそれのないものにする。」など、常識的に考えればわかるモノも多いので、赤文字の部分を中心に覚えていけばOKです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません