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危険物を運搬する基準【危険物乙4テキスト】

危険物をドラム缶などに入れて運ぶことを運搬といいます。

ここでは、運搬にも関する様々な基準を解説します。

なお、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)で危険物を運ぶことはを「移送」といいます。

「運搬」と「移送」は意味合いが似ているため、間違えて覚えないように注意してください。

運搬の基準

危険物を車両等で運搬する際の基準は以下の通りです。

  • 運搬する際に許可や届出は不要。
  • 危険物の運搬時は、容器が著しく摩擦、動揺を起こさないようにする。
  • 危険物取扱者が乗車する必要はない。(移動タンク貯蔵所は危険物取扱者の同乗が必要)
  • 指定数量以上の危険物を運搬する場合、車両の前後に「危」の標識および消火設備を備える。
  • 上記の「危」の標識は、全体を黒地にして、文字は黄色(反射塗料)。サイズは、縦横ともに0.3m以上~0.4m以下とする。
ヘタ・レイ
ヘタ・レイ

運搬の場合は、危険物取扱者の同乗は不要です!

容器の基準

危険物を運搬する際の容器にも、細かい基準があります。

  • 運搬容器から危険物が漏れないように、容器は原則密閉する。ただし、温度変化によって危険物からガスが発生して容器内の圧力が上昇する場合は、ガス抜き口を設けた運搬容器を使うことができる。(毒性・引火性がある危険物は除く)
  • 運搬する容器の材質は、鋼板、アルミニウム板、ブリキ板、ガラス、プラスチックなど。
  • 運搬する容器は、落下試験、気密試験、内圧試験、積み重ね試験の基準に適合するものとする。
  • 容器を積み重ねる場合、その高さは3m以下にする。
  • 液体危険物は容器の98%以下の収納率にして、55℃の温度で漏れないように容器の容積に余裕を持たせる。
  • 固体危険物は容器の95%以下の収納率にする。

また、運搬容器の外部には「危険物の品名」、「化学名」、「危険物の数量」、「水溶性なのかどうか」、「危険物の等級」、「危険物に応じた注意事項」を表示しなくてはいけません。

次に、危険物の等級注意事項については解説します。

危険物の等級

危険物は危険性の高い順にⅠ、Ⅱ、Ⅲと等級が区分されており、等級ごとに貯蔵容器の種類最大貯蔵容量が決められています。

以下の表は、第4類危険物の等級区分です。

等級品名主な物質
危険等級Ⅰ特殊引火物・ジエチルエーテル
・二硫化炭素
危険等級Ⅱ第1石油類
アルコール類
・ガソリン
・ベンゼン
・トルエン
・アセトン
・ピリジン
・メチルアルコール
・エチルアルコール
危険等級Ⅲ第2~4石油類
動植物油類
・灯油
・軽油

・キシレン
・クロロベンゼン
・酢酸
・アクリル酸

・重油
・クレオソート油
・アニリン
・グリセリン
・エチレングリコール
・ギヤー油
・シリンダー油

・ナタネ油
・ヤシ油
・オリーブ油
・ニシン油
・キリ油

危険物の種類の応じた注意事項

危険物の種類に応じて容器に記載する事項は以下の通りです。

危険物の分類品名記載する注意事項
第1類危険物
(酸化性固体)
アルカリ金属の過酸化物「火気・衝撃注意」「可燃物接触注意」「禁水」
 その他の第1類危険物「火気・衝撃注意」「可燃物接触注意」
第2類危険物
(可燃性固体)
鉄粉、金属粉、マグネシウム「火気注意」「禁水」
引火性固体「火気厳禁」
その他の第2類危険物「火気注意」
第3類危険物
(自然発火性・禁水性物質)
自然発火性の物品「空気接触厳禁」「火気厳禁」
禁水性の物品「禁水」
第4類危険物
(引火性液体)
すべて「火気厳禁」
第5類危険物
(自己反応性物質)
すべて「火気厳禁」「衝撃注意」
第6類危険物
(酸化性液体)
すべて「可燃物接触注意」

積載方法の基準

危険物を運搬する際に、容器の転倒や破損を防止するため容器の積載方法にも以下のような基準があります。

  • 危険物の運搬容器は、が落下、転倒、破損しないように積載する。
  • 危険物は専用の容器に入れ、収納口を上向きにして車両等に積載する。
  • 危険物の容器を積み重ねて運搬する場合は、積み重ねる高さを3m以下にする。

また、以下の危険物については、日光の直射を避けるため遮光性の被覆で覆わなければいけません。

  • 第1類危険物
  • 第3類危険物のうち自然発火性物品
  • 第4類危険物のうち特殊引火物
  • 第5類危険物
  • 第6類危険物

混載の禁止

類を異にする危険物を同一の車両で運搬すると、それぞれの危険物同士が化学反応を起こし重大な事故につながる可能性があるため、一部の組み合わせを除き危険物の混載禁止されています。

危険物の混載表
1類2類3類4類5類6類
1類××××
2類×××
3類××××
4類××
5類×××
6類××××
〇は混載可能、×は混載不可

なお、指定数量が1/10以下の危険物については、上記基準は適用されません。

また、消防法で規定される危険物以外にも、高圧ガス災害のおそれるのある物品との混載も禁止されています。ただし、高圧ガスは、内容量が120ℓ未満の容器に充填されている場合に限り混載が認められています。

プロフィール
ヘタ・レイ

ビルメンYouTuberのヘタ・レイ。
保有資格:電験三種、ビル管理士、行政書士、宅建士、電工一種、危険物乙4、消防設備士、2級ボイラー技士、2種冷凍機械、日商簿記2級、FP2級など。
これまでの経験と保有資格を活かしてオリジナル問題を作成しています。
ビルメン情報ブログもよろしくお願いします。