建築物環境衛生管理基準【ビル管理士試験重要知識】

内容に誤りがあった場合は、お手数ですがコメント欄で教えて頂けると助かります。

特定建築物の所有者などは、「建築物衛生法」で定められた建築物環境衛生管理基準に従って、建物の維持管理を行う必要があります。

この基準では、空気環境、給水・排水、清掃、ねずみや昆虫の防除など、建物内の環境を衛生的に保つために必要なことが定められており、その目的は、建物を利用する人々にとって快適で衛生的な環境を維持することです。

なお、この基準に違反しただけでは、すぐに罰則や行政処分の対象になるわけではありません。ただし、違反によって健康被害が発生する恐れがあると判断された場合には、都道府県知事が改善命令を出すことがあります。さらに、緊急の危険がある場合には、一時的に設備の使用を停止したり、制限する措置が取られることもあります。

また、特定建築物以外でも、多くの人が利用する建物については、この基準に基づいた維持管理を行うよう「努力義務」が課されています(法第4条)。

目次

空気環境の調整に関する基準

空気調和設備を設けている特定建築物では、以下の表にある7項目について、その値が基準値に適合するようにしなければいけません。

項目基準値備考
温度18℃以上28℃以下全ての測定値で基準を満たす
相対湿度40%以上70%以下
気流0.5m/s以下
ホルムアルデヒド0.1mg/m³以下
一酸化炭素6ppm以下
(100万分の6以下)
平均値で基準を満たす
二酸化炭素1,000ppm以下
(100万分の1,000以下)
浮遊粉じん量0.15mg/m³以下

測定は通常の使用時間中、始業後~中間時、中間時~終業前の二時点に行い、測定場所は各階ごとに居室の中央部の床上75cm~150cmの地点で行います。

なお、空気調和設備ではなく機械換気設備を設けている場合は、上記7項目から温度と湿度が除外されます。

空気環境の測定方法

温度、湿度、気流、一酸化炭素、二酸化炭素、浮遊粉じんは、2カ月以内に1回測定します。
また、ホルムアルデヒド測定は、新築や修繕等から使用開始後の6月~9月に1回だけ実施すればOKとなっています。

測定項目ごとに必要な測定機器は以下の通りです。

項目測定機器
温度0.5度目盛りの温度計
相対湿度0.5度目盛りの乾湿球湿度計
気流0.2m/s以上の気流を測定できる風速計
ホルムアルデヒド2・4―ジニトロフェニルヒドラジン捕集―高速液体クロマトグラフ法により測定する機器、又は厚生労働大臣が別に指定する測定器
一酸化炭素検知管方式の一酸化炭素検定器
二酸化炭素検知管方式の二酸化炭素検定器
浮遊粉じん量グラスファイバろ紙を装着して、相対沈降径がおおむね10μm以下の浮遊粉じんを重量法により測定する機器又は厚生労働大臣の登録を受けた者により当該機器を標準として較正された機器

空気調和設備の衛生上必要な措置

空気調和設備の構成機器に含まれる冷却塔や加湿装置等では、レジオネラ属菌などの病原体によって居室の内部の空気が汚染されることを防止するための措置を講じなければなりません。

レジオネラ属菌は自然環境に広く存在する細菌で、特に人工的な水環境で増殖しやすく、レジオネラ症という感染症の原因となります。

項目措置内容頻度
冷却塔及び加湿装置に供給する水水道法第4条に規定する水質基準に適合させる
冷却塔、冷却水汚れの状況の点検
※必要に応じて清掃及び換水等を行う。
使用開始時及び使用期間中1ヶ月以内ごとに1回
(1ヶ月を超える期間使用しない場合を除く)
冷却塔、冷却水の水管の清掃1年以内ごとに1回
加湿装置汚れの状況の点検
※必要に応じて清掃及び換水等を行う。
使用開始時及び使用期間中1ヶ月以内ごとに1回
(1ヶ月を超える期間使用しない場合を除く)
清掃1年以内ごとに1回
空気調和設備内に設けられた排水受け汚れ及び閉塞の状況の点検
※必要に応じて清掃及び換水等を行う。
使用開始時及び使用期間中1ヶ月以内ごとに1回
(1ヶ月を超える期間使用しない場合を除く)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。

目次