【ビル管理士試験】蚊、ゴキブリ、ダニなど害虫の特徴まとめ

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ビル管理士試験で出題された害虫などの特徴や、媒介する感染症をまとめています。

目次

蚊の種類や特徴

蚊の種類は国内に100種類以上いるが、屋内で発生するのはチカイエカのみです。

蚊が人に与える被害の特徴の一つに感染症の媒介者となることがあります。蚊の種類によって様々な感染症を媒介し、重度の症状を引き起こすものもあります。とくにウエストナイルウイルスは多種の蚊が媒介しています。

蚊は、卵→幼生→蛹→成虫という完全変態を経て成長していきます。

完全変態と不完全変態の違いは、幼虫から成虫になる過程で「蛹(さなぎ)」という段階を経るかどうかです。

蚊が吸血する目的は、メスが卵を産むためなので、オスは吸血することはありません。(血液から卵の生育に必要なタンパク質や鉄分などを得る)

チカイエカ

  • 生息地域北海道から九州
  • 発生源:地下水域、浄化槽、汚水槽、湧水槽
  • 吸血対象:鳥類、ほ乳類を日没後に吸血
  • 媒介する感染症:ウエストナイル熱
  • 特徴
    • 屋内にも発生する
    • 最初の産卵は無吸血で行える
    • 冬季も休眠しない
    • 狭い場所でも交尾が可能
    • 雌成虫の外部形態はアカイエカと見た目が酷似しており判別不能

アカイエカ

  • 生息地域北海道から九州
  • 発生源下水溝雨水ます
  • 吸血対象鳥類、ほ乳類を日没後に吸血
  • 媒介する感染症ウエストナイル熱、フィラリア症
  • 特徴
    • 成虫は1.2㎞ほどの長距離を移動
    • 雌成虫の外部形態はチカイエカと見た目が酷似しており判別不能
    • 成虫の状態で越冬する

ネッタイイエカ

試験で出題されていないため覚える必要はないと思いますが念のため掲載しておきます。

  • 生息地域:沖縄、奄美大島、屋久島
  • 発生源:下水溝
  • 吸血対象:鳥類、ほ乳類を日没後に吸血
  • 媒介する感染症:ウエストナイル熱、フィラリア症
  • 特徴
    • 季節性の休眠無し

コガタアカイエカ

  • 生息地域北海道と青森以外の全国
  • 発生源水田、湿地
  • 吸血対象鳥類、牛、豚など大型の哺乳類を日没後に吸血
  • 媒介する感染症日本脳炎(西日本中心)、ウエストナイル熱
  • 備考
    • 数キロから数十キロメートル移動

ヒトスジシマカ

  • 生息地域青森県から南西諸島
  • 発生源小型の人工容器、雨水ますなど小さい水域
  • 吸血対象鳥類、ほ乳類(ヒト含む)、爬虫類、両生類など多様な種類を日中に吸血
  • 媒介する感染症デング熱チクングニア熱ジカウイルス感染症、ウエストナイル熱
  • 備考
    • 冬季は卵で越冬する
    • 都市部の住宅街や公園などで発生
    • 成虫の移動範囲は100~150メートル

ネッタイシマカ

  • 生息地域:種子島以南
  • 発生源:空き缶、雨水ますなど小さい水域
  • 吸血対象:ほ乳類を日中に吸血
  • 媒介する感染症デング熱、チクングニア熱、黄熱、ジカウイルス感染症
  • 備考
    • 空港周辺で発見される

ハマダラカ

  • 生息地域シナハマダラカは九州から北海道まで広く分布
  • 発生源水田、湿地帯
  • 吸血対象:哺乳類などから夜間に吸血
  • 媒介する感染症マラリア
  • 備考

ゴキブリの種類と特徴

ゴキブリ共通の特徴

  • ゴキブリは蛹(サナギ)にならず、卵→幼生→成虫という過程で成長する(不完全変態)
  • 幼虫も成虫も同じ場所で生活する
  • 卵は卵鞘(卵を包んで保護するための鞘状の入れ物)の形で産む
  • 夜間に活動し、昼間は特定の場所に隠れている
  • フンの中に集合フェロモンを分泌し仲間を呼ぶ
  • 単独よりも集団で生活するほうが、食料の確保や外敵からの防御が容易になり成長が早い
  • 雑食性であり、有機物ならほとんどなんでも食べる
  • 日本に生息するゴキブリは60種類近くで、そのほとんどは屋外に生息しており、屋内に定着しているものは6種類ほど
  • 孵化したばかりのゴキブリ類の幼虫は、0.5mmの隙間でも潜ることができる

ここで紹介するゴキブリは全て屋内に定着している種です。

チャバネゴキブリ

  • 毒餌に対する喫食抵抗性や、殺虫剤に対する薬剤抵抗性を示す集団の存在が報告されている
  • 雌成虫は、卵鞘を孵化直前まで尾端に付着させている
  • 雌成虫の産卵回数は、一生の間に約5回
  • 孵化した幼虫が成虫になるまでの期間は25℃で60日間
  • 寒さに弱いため屋内に生息している
  • 休眠性をもたない
  • 成虫は1.5㎝ほどの大きさ
  • 全体に黄褐色である
  • 北海道から沖縄まで広く分布
  • 1年に2回~3回世代交代を繰り返す

クロゴキブリ

  • 卵から成虫まで発育するのに1年以上を要する
  • 卵鞘を唾液などでくぼみやすき間に固着させる
  • つやのある黒色
  • 成虫は3~4㎝(大型)

ワモンゴキブリ

  • 卵鞘を唾液などでくぼみやすき間に固着させる
  • 前胸背板に黄白色の輪状の斑紋がある
  • 成虫は3~4.5㎝(大型)

トビイロゴキブリ

  • 日本における分布は、局地的
  • 卵鞘を唾液などでくぼみやすき間に固着させる

ヤマトゴキブリ

  • 屋内、屋外どちらにも生息している
  • 環境条件によって屋外でも越冬可能

ダニ

ダニの中には他の生物に寄生する「寄生生活性」と、自由に動いてエサなどを捕食する「自由生活性」に分かれます。

ダニ類は、顎体部と胴体部の2つに分かれており、他の昆虫のように頭・胸・腹という構成はありません。顎体部が口になっており、脚は幼虫が3対で成虫が4対となっています。国内には約3000種類のダニが確認されており、人の生活空間に出現するのは10種類程度です。

種類によって食性は様々で、人間のフケを食べるものや貯蔵食糧を食べるものなどがいます。試験ではダニの種類ごとの性質など細かい知識が問われるため、違いをしっかり覚える必要があります。

イエダニ

  • 吸血性のダニ
  • ネズミに寄生する
  • ヒトからも吸血することがある

マダニ類

  • 幼虫・若虫・成虫、雌雄の全て吸血性がある
  • 哺乳類、鳥類、爬虫類などの動物に寄生
  • 屋外の草や木の葉などに生息しており、通りかかった動物に寄生する
  • 第1脚の先端にある「ハラー氏器官」と呼ばれる感覚器官を持ち獲物を感知することができる
  • 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)をの原因となるウイルスを媒介する
  • ライム病の原因となる細菌を媒介する
  • 日本紅斑熱の原因となるリケッチアを媒介する

ツメダニ類

  • 室内に生息
  • 肉食性で他のダニやチャタテムシ等を捕食する
  • 動物吸血性はないが、まれに人を刺す(咬む)こともある
  • 殺虫剤の感受性が低い(殺虫剤が効きにくい)ため、餌となる他のダニの駆除が重要

タカラダニ

  • 屋外の壁などで見られるダニ
  • 人に不快感を与えるが、直接的な被害(刺す、吸血など)は無い
  • 潰すと体液が出てきて、まれにアレルギー反応を起こすこともある

ワクモ・トリサシダニ・スズメサシダニ

  • 吸血性がある
  • 鶏などの鳥類に寄生する
  • 人も刺すことがある
  • アレルゲンになる

※ワクモって名前ですがダニです

コナダニ

  • 保存食品や新しい畳などから発生する
  • 人を刺さない
  • アレルゲン性は比較的低い
  • 乾燥に弱く高湿度環境を好む
  • 大量発生によってヒトに不快感や恐怖感を与える

ヒョウヒダニ

  • 室内の塵やヒトのフケなどを食べる
  • 死骸、糞が気管支喘息やアトピー性皮膚炎のアレルゲンとなる
  • コナヒョウヒダニが増える温湿度条件は、ヒトが快適に生活できる条件とほぼ一致している
  • 殺虫剤の感受性が低い(殺虫剤が効きにくい)ため、餌となる塵などの清掃が重要

ヒゼンダニ

  • 吸血はしないが、ヒトの角質層内に寄生する
  • 疥癬(かいせん)の原因となり、高齢者施設、病院などで見られる

ハエ類

イエバエ

  • 主に畜舎やゴミ処理場が発生源
  • 腸管出血性大腸菌(O-157)の病原体を運ぶとされている
  • ピレスロイド系の薬剤などに抵抗性を獲得している集団が報告されている

クロバエ

  • 気温の低い時期に発生
  • 大型のハエ

ニクバエ

  • 卵ではなく、幼虫(ウジ)を産む卵胎生である。

卵胎生(らんたいせい)とは、動物の繁殖形態の一つで、卵が親の体内で孵化し、幼生や幼体の状態で産まれる現象を指します。

ノミバエ

  • 小型のハエ
  • 明かりに集まる走光性を示す
  • 腐敗した動物質(浄化槽のスカムなど)に発生

チョウバエ

  • 主に下水や排水溝などの有機汚泥に発生
  • 不快害虫だが、ヒトに害を与えるようなことはない
  • 光に集まる習性がある

ショウジョウバエ

  • 光に集まる習性がある
  • 腐敗した果物や野菜、生ゴミに発生

その他の害虫

ヒラタキクイムシ

  • 幼虫が、穀物を加害することもある

コロモジラミ

  • 人の下着などの衣類に寄生し人の血を吸う
  • 発疹チフスを媒介する

ヒアリ

  • 要緊急対処特定外来生物に指定されている
  • 日本では港湾部を中心に発見例が報告されている
  • 攻撃性が強く、毒針でヒトや動物を刺す

コナチャタテ類

  • 乾燥植物やドライフラワーなどから発生する
  • カビを餌としている

カツオブシムシ類

ヒメマルカツオブシムシなど

  • 幼虫が、乾燥食品(魚粉、鰹節など)や毛織物、標本類などを食害する
  • フェロモンによって誘引される

イエヒメアリ

  • 防除には、食毒剤が有効(巣に毒エサを持ち帰らせて巣全体を全滅させる)

トコジラミ

  • ピレスロイド剤に対する抵抗性を示す集団が報告されている
  • カメムシの仲間であり、シラミとは分類が異なる
  • 人を吸血し、激しいかゆみを伴う刺し傷を引き起こす
  • 幼虫、成虫、雌、雄ともに吸血する

ツマアカスズメバチ

  • 特定外来生物に指定されている危険な外来種で、生態系や農林水産業、人への健康被害への影響が懸念されている

シバンムシ

  • 幼虫が、乾燥した麺類や菓子類を加害する

シバンムシアリガタバチ

  • 幼虫が、シバンムシの幼虫の体表に外部寄生する
  • 夏季に羽化すると、ヒトを刺す場合がある

ツツガムシ

  • つつが虫病の原因となるリケッチアという細菌の一種を媒介する
  • つつが虫病は北海道以外の本州・四国・九州を中心に広く分布

ネコノミ

  • 主な宿主は猫だが、犬や人、ネズミなど他の哺乳類にも寄生し吸血する
  • ノミ全般は飢餓に強い(シラミは飢餓に弱いという特徴と比較して問題が出たことがあります)

メイガ(蛾)

  • 幼虫が、小麦粉製品のような貯蔵食品を食害する

イガ(蛾)

  • 幼虫が繊維製品や乾燥食品などを食害する

マルカメムシ

  • マメ科植物(特にクズ)を好む
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