危険物保安監督者・統括管理者・施設保安員【危険物乙4テキスト】
ここでは危険物の安全な管理に必要不可欠な保安監督者等について解説します。
まずは以下の表をご覧ください。
名称 | 役割 | 必要な資格 |
危険物保安統括管理者 | 大規模な事業所において、危険物の保安に関する業務の統括管理を行う | 無し |
危険物保安監督者 | 危険物の取扱作業の従事者に必要な指示を行う | 危険物取扱者甲種・乙種 ※丙種は不可 |
危険物施設保安員 | 危険物保安監督者の指揮下で、施設の保安業務を行う | 無し |
製造所等では危険物保安監督者を選任し、危険物の取扱作業に関して保安監督をさせており、危険物施設保安員は、その指揮下で保安業務に従事しています。
また、大量の危険物を扱う大規模な事業所では、危険物保安統括管理者を選任し危険物保安監督者よりも上の立場で業務全体の統括管理を行わせています。
統括管理者は保安監督者よりも上の立場ですが、危険物取扱者の資格は不要です。
それぞれの役割について、もう少し詳しく解説していきます。
危険物保安統括管理者
大量の第4類危険物を貯蔵、取り扱う製造所等の所有者は、危険物保安統括管理者を定め、危険物の保安に関して統括管理をさせなければいけません。
また、危険物保安統括管理者を選任・解任したとき、製造所等の所有者は遅滞なく市町村長等に届け出をします。
選任された危険物保安統括管理者は、保安監督者よりも上の立場で事業所の統括管理を行うことが主な役割とされています。
なお、危険物保安統括管理者の選任が必要な施設は、「指定数量の3,000倍以上の第4類危険物を扱う製造所・一般取扱所」、「指定数量以上の第4類危険物を扱う移送取扱所」です。
第4類以外の危険物を扱う製造所等では、危険物保安統括管理者は不要ということですね!
ちなみに、危険物保安統括管理者になるために必要な資格や実務経験はありません。
危険物保安監督者
製造所等の所有者は危険物保安監督者を定め、危険物の取扱作業に関して保安監督をさせなくてはいけません。
また、危険物保安監督者を選任・解任したとき、製造所等の所有者は遅滞なく市町村長等に届け出をします。
危険物保安監督者に選任されるには、甲種または乙種の危険物取扱者で、製造所等で6か月以上の実務経験を有する者に限ります。
ちなみに、免状取得前の実務経験も含まれるため、既に6か月以上の実務経験がある場合は免状取得後にいきなり選任されることも可能ですし、複数の製造所等での経験を合算することもできます。
選任された危険物保安監督者は、危険物の貯蔵または取り扱いに関して政令で定める技術上の基準に適合にするように作業従事者に必要な指示を行うことが主な業務とされています。
なお、危険物保安監督者の選任が必ず必要な施設は、製造所、屋外タンク貯蔵所、給油取扱所、移送取扱所の4つです。
上記以外の製造所等では、危険物の品名や指定数量などにより危険物保安監督者が必要かどうか変わります。とりあえず、必ず選任が必要な4つだけ覚えておきましょう。
移動タンク貯蔵所(タンクローリー)は、危険物保安監督者の選任不要です。
当然のことですが、乙種の場合、保安監督できるのは免状で指定された危険物だけに限ります。
例)乙種4類免状しか持っていない者が、乙種5類危険物の保安監督者にはなれない
危険物保安監督者の主な役割
- 危険物の取扱いや貯蔵などについて技術上の基準等に適合するように作業者に対して指示を行う
- 災害発生時に作業者を指揮し応急の措置を講ずる。また、消防機関などに連絡をする。
- 危険物施設保安員を置いている場合は、危険物施設保安員へ業務上必要な指示を出す。
- 危険物施設保安員を置いていない場合は、危険物保安監督者が自ら危険物施設保安員の行う業務(点検や記録など)を担当する。
危険物施設保安員
製造所等の所有者は危険物施設保安員を定め、施設の構造や設備の保安業務を行わせなければいけません。
なお、危険物施設保安員に関しては、選任・解任の届け出は不要となっています。
危険物施設保安員を定める必要がある施設は、「指定数量の倍数が100以上の危険物を取扱う製造所、一般取扱所」、「移送取扱所(指定数量の規定無し)」です。
危険物施設保安員は、危険物保安監督者の指揮下で定期点検や臨時点検など施設の保安業務を行います。
危険物施設保安員になるための資格や実務経験の規定はありません。
危険物施設保安員の主な役割
- 製造所等が技術上の基準に適合するように、定期点検や臨時点検を行う。
- 各種点検の記録および保存する。
- 災害発生時は、危険物保安監督者と協力して応急措置を講ずる。
- 製造所等に異常があった場合は、危険物保安監督者のや各関係者に連絡し適切な措置を講ずる。
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